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『ひとりかくれんぼ』(竹書房)

 みなさんは「ひとりかくれんぼ」というものをご存じでしょうか?

 これは、数年前のある時期からネット上に噂が広まりはじめ、最近は映画の題材として取り上げられたりもしている、いわゆる「絶対にやってはいけない遊び」の類いです。今回の21世紀ダークサイドマジックNOW!では、そんな「霊的イケナイ遊び」についてのお話をご紹介しようと思います。

 映画『リング』の貞子などに代表される「見てはいけないビデオ」「検索してはいけないワード」などという禁忌により強調される恐怖のテンプレートは、タブーの少ない現代日本に生きる私たちにとって、きわめてなじみ深い怪談の1スタイルですよね。その中でも群を抜いて身近なのは、やはり「こっくりさん」でしょうか。大人になっても不思議大好きなハピズム読者の皆様の中には、小学校の休憩時間に先生の目を盗んでこっくりさんシートを作成し、いそいそと十円玉に人差し指を添えた記憶のある方もたくさんおられることでしょう。そして、お決まりのオチとしての「帰ってください」→「いいえ」のエンドレスに陥って「ぎゃー!!」なんていう微笑ましい思い出という名のトラウマを決して少なくない数のみなさんがお持ちかと思います。

 とにもかくにも「やってはいけない」と言われれば言われるほど、ついついやりたくなってしまうというのは今も昔も変わらぬ人の性のようで、「ひとりかくれんぼ」と検索すれば予想を裏切らない数の体験談とともに、ニコニコ動画には「やってみた」系の動画までもが多数投稿されています。

 この遊びを私に教えてくれたのは、私の幼なじみであり、現在はソロで魔術修行にいそしんでいる実践オカルト女子のAちゃん(仮)でした。ある眠れぬ午前3時、暇を持てあました彼女は、以前ネットでみかけた「ひとりかくれんぼ」をやってみようと思い立ったのだそうです。

 この遊びはまず、「手足のついた手頃な人形を用意し、その腹を裂き、綿を抜いて生米をつめるところからはじまります。そして、自分の爪か血、もしくは髪の毛を入れて口を縫い塞ぎ、人形に名前をつけます。

 大胆すぎるほどの行動力をもっている癖にめっぽう恐がりな彼女は、「怖くなりすぎないように」とドコモダケのマスコットを使用することにしました。そして、生米と彼女の髪の毛(爪は怖すぎるから却下)をお腹いっぱいに詰め込まれたドコモダケは「○○くん」というトンマな名前を授けられました。これも「真面目すぎる名前をつけると、怖すぎて取り返しのつかないことになってはいけない」との理由で、できるだけ可愛いらしくなるよう工夫を凝らしたのだそう。

 その後○○くんは糸でぐるぐる巻きに縛られて、水桶の中に沈められました。Aちゃんは、水没した○○くんに向かって「まずは私が鬼ね」と一言告げ、その場を一度去り、またすぐに戻ってきました。そして「○○くん、みぃつけた」と言ってカッターでザッスザッスとメッタ刺し、「次はあなたが鬼の番ね」と告げて、今度は自分が隠れたのだそうです。

 ……待って! 待って待って! これ、絶対あかんやつ!!!!

 手順を聞きながら私は戦慄しました。午前3時に妙齢の女子が1人で何やってんねん! 寂しすぎるやろ!……という突っ込みの前に、ぐるぐる巻きのドコモダケを真顔で滅多刺しにしている様は、なんだかもう想像しただけで「あかんやつ」感が炸裂してしまっています。それに、どう考えても、これはマジモンの理にかなった呪術の手法じゃないですか…!

 まず「生米」は、おそらく肉体の構成物の象徴でしょう。欧米人がやるなら、パンとか入れるといいんじゃないでしょうか。イタリア人ならパスタでしょうね。そして「爪か血、髪の毛」というのは、いわば「フェティッシュ」と呼ばれるもの。相手の身体の一部や写真を人形に詰めて分身を作り出し、針で刺すというのは一番簡単で原始的な呪いの手法といえるでしょう。この場合は、自分の分身を作っているわけですね。そして、名付けによって自分から乖離させ、あらたな人格をそこに再構築させようとしているのでしょう。やはりどこまでいっても「ひとりかくれんぼ」なわけです。さらに、「糸でぐるぐる巻きにする」というのも、よく魔女の術として用いられる手法で、練り上げた魔術的エネルギーを糸の形を借りて視覚化することによって、より強化することが可能ですし、同時に術を中断、または終了させたくなった時に、糸を解くことでチャージされた魔術的エナジーをすみやかに解放することにも役立ちます。

 それにしてもこの遊び、いったい誰が考えてネット上にばらまいたのかしら。どう考えてもプロの犯行!

 閑話休題。当の彼女はというと「あなたが鬼ね」と伝えた後、震えながらお布団に潜り込み、朝まで怯えながら過ごしたらしいのですが、うーんそれにしてもなんという、向こう見ずというか、怖いもの知らず!

 この遊びは最後、使用した人形を焼失させなければならないという決まりなのだそうですが、そこもオープニングとクロージングを重視する魔女の術のスタンダードに準じているといえます。空が白み、夜が明けた頃、Aちゃんはなにも起こらなかったことに胸を撫で下ろしつつ、儀式の最後の作業のために水場に赴きました。

 けれども……な、なんということでしょう! そこに○○くんはいなかったのです。いや、正確にはいたのですが、予想していた形ではいなかったのです。

 水の中は空っぽで、○○くんと名付けられた雁字搦めにされしとどに濡れそぼったドコモダケのマスコットは、桶の外でちょこんと澄ました顔をして座っていたのだそう。

 い、いやぁぁぁぁぁ!!!! こわいいいいいいい!!!! で、でも、ちょっと可愛い……。

 もしかして同居人か誰かが、Aちゃんが霊的イケナイ遊び中とはつゆ知らず、親切心で水からあげておいてくれたのかもしれないし、おもいっきり水に突っ込みすぎたせいで、何かのはずみで外にぴょこんと飛び出しただけかもしれません。もしくは、彼女が実は夢遊病で、朝が来る前に起きだして、自ら座らせたのかもしれません。要因はいくらでも考えることができます。

 けれども、そんなのはどうでもいいことなのです。ここで大切なのは、人形が彼女の与り知らぬ場所で「動いた」という事実。これはすばらしい魔術的才能といえるでしょう。だって、「現実に変化が引き起こされた」のだもの! いや、マジでお見事!

 ちなみに「ひとりかくれんぼ」は彼女が実践した手順以外にも、いろいろな手法があるようで、たとえば玄関で「はやくお入りなさい。さぁさぁはやく、閉めちゃいますよ」と声をかけて何かを招き入れる所作と声がけをするというもの(地方によってはお盆に似たような所作をしてご先祖様をお招きするという風習が残っていたりしますよね)や、部屋の電気を消してテレビだけをつけておく、もしくはホワイトノイズを流しっぱなしにする、塩水を口に含んで隠れる、などさまざまですから、自分なりの演出をどんどん加えてみるのも面白いかもしれません。

 とはいえ、あんまりにも手軽なのに呪術のツボをばしっと押さえているこの「イケナイ遊び」。うーん、こればっかりはいくら不謹慎好きな私とて、「みんなもやってみてねー☆」と軽々しくオススメするのは気が引けてしまいます。

 それでもやっぱり「人間以外の存在との遊び」は名状しがたき魅力を放っていますから、この記事をきっかけに、試したくなってしまった方々も少なからずおられることでしょう。そんな強者のあなたにアドバイス。まずは「もしも自分が人形に憑依する側のお化けだったらどう感じるか」ということをよーく熟考してみてください。「わーい、喚ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! よーし、せっかく喚んでくれたんだから、張り切ってサービスしちゃうぞー!」とノリノリになれそうなのだとすれば、きっと超楽しい「ひとりかくれんぼ」をエンジョイできることでしょう。逆に「遊び半分で我を喚びだすなぞ、許すまじ。バカにしおって…解せぬ! 許せぬ! 呪ってやる!」と、憤慨していまいそうだな、と思ったあなたには、それ相応の覚悟をしてから挑むことをオススメします。「類は友を呼ぶ」というのは、人の世のみに限られた法則ではないことをお忘れなきように。そして、あくまで「ひとりかくれんぼ」であるという前提も忘れないこと!

 とどのつまり「霊的イケナイ遊び」なんてものは、この世には存在しません。占いも降霊術も、恋も仕事も健康も、すべて自己責任でなせば何をしたっていいのです。けれどもやるからには、本気で最後までやり抜くことが肝要。その後Aちゃんは、きっちり4時間かけてドコモダケの○○くんを完全に焼失させたのだそう。やるからにはAちゃんを見習って、最後までキチンとやりとげましょうね。

 ちなみに私は多分一生やりません。だって、後片付けが超めんどくさそうなんだもん!

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■谷崎榴美(たにざき・るみ)
現代魔女術研究・実践家。シュメール・バビロニアからポストアセンションを貫通する魔女ガーリーな霊性(特に性と愛)を探求。プレイセラピーを取り入れた現代魔女術ワークショップや公開儀式、スカイプ鑑定、各種執筆などの手段を用いて現代日本のオカルトシーンをなんとか盛り上げんと日夜心血を注いでいる。
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