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画像は、Judicial-Inc Archiveより

 1888年、英国ロンドンで売春婦5人をバラバラ殺人した伝説の連続殺人鬼切り裂きジャック。いまだ犯人不明のこの連続殺人事件は、未解決事件の代名詞として、今日まで世界的に知られている。そして事件から125周年を迎えた今年、殺人捜査専門のベテラン元刑事が、衝撃的な結論を発表し、話題を呼んでいる。1世紀以上に渡り英国市民を翻弄した連続殺人事件の真相、それは「切り裂きジャックは存在しなかった」というものである。

 結論を発表した元刑事のトレバー・マリオットは、退職後11年間に及び事件を調査。警察の協力のもと、書類を精査し、また現代の検屍技術を応用して事件の解明にあたった。

「この事件の真相は、メディアによって長い間ゆがめられていたんです。多くの人がこの事件に言及しましたが、そのほとんどすべてが事件をミスリードしていました。“ジャック”は5人の殺人事件の容疑者とされてきました。しかし実際には、その事件の前後にも数多くの類似した事件が、英国はもちろん、アメリカやドイツでも起きているんです」

 マリオットによると、1863年から1894年の間には、ジャックと同じ手法による殺人事件が17件起きていたという。ドイツのセールスマン、カール・フェイゲンバウムという男がその事件のいくつかに関与していることは間違いがないものの、すべてが彼による犯行である可能性は低いとしている。頻繁にドイツと英国、アメリカを行き来していたカールはアメリカで逮捕され、1896年に処刑された。

「実際にその当時は未解決事件が数多く起きていますが、ほとんどは忘れ去られていました。しかしトーマス・ブリンという男がジャックを造り上げたのです」

 ブリンは1888年、ロンドンの中央新聞局に所属したフリーの新聞記者だった。ほぼアルコール中毒であったブリンはスクープをねつ造するため、“切り裂きジャック”を名乗る犯行声明文(“親愛なるボスへ”から始まる有名な手紙)を、中央新聞局に届け、警察に送らせたとマリオットは推測する。

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画像は、Wikipediaより。親愛なるボスへと書いてある封筒
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画像は、Wikipediaより

「ブリンが“ジャック”を造り上げたんです。このジャーナリズムによる歴史的なねつ造が、125年に及ぶ謎をつくりあげました。そして今日でさえ、連続殺人鬼を“Ripper(切り裂く人)”と呼ぶわけです」

 またマリオットはこれまでに世に出た本や映画の多くが、逆にジャックのイメージを造り上げたことを指摘する。

「本や映画に出た約80%近くのジャックのイメージが、黒いハットに、黒いケープ(マントのような外套)を着た姿で描いています。これはいうまでもなく上流階級の人の服装です。しかし1888年、そんな姿で深夜にロンドンのホワイトチャペル(事件が起きた地域)を歩いてみようものなら、おそらく5分と待たずに犯罪にあったはずです。あの地域は英国でも最悪の治安の地域でした。つまりこのジャックのイメージさえも、ハリウッド映画のように作られたものだったんです」

 また現場では“死体から内臓が取り出されていた”とされた点についても、調査の結果、実際には内臓は検死段階で取り除かれていたことが分かったという。

「つまり、切り裂きジャックなどと呼ばれる男は存在しなかった、ということです。」

 マリオットはこの事件調査の結果を本にまとめ、現在英国で講演を行っている。そこではほかにも得られた決定的な検屍結果を公開し、更に詳しく事件の真相に切り込んで解説しているという。
(木林純一)
【参考・Express

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