1976年、「本物かトリックか? ナゾの殺人映画『スナッフ』いよいよ公開! あの“ライオン映画”もかすむモノ凄さ!」というキャッチフレーズで、アルゼンチン映画『スナッフ』が日本で公開された。

“ライオン映画”とは『ジャングル大帝』ではなく、前年に公開されたイタリア映画『グレートハンティング』のこと。人がライオンに喰われるシーンがセンセーションを巻き起こした、発展途上国蔑視のドキュメンタリー映画だ。当時はほかにも、サメがダイバーの足を喰いちぎる『シャーク!』など、ショッキング映像をウリにした残酷趣味映画の全盛期で、『スナッフ』もまた「実際の殺人フィルム」という都市伝説の映画化として話題になっていたのだ(結局どれもヤラセだったが)。

 そして、女性を犯しながら解体する『スナッフ』を観た当時の東映社長・岡田茂は、「牛裂きで和製スナッフを作れないか?」と閃いた。「牛裂き」とは、罪人の両手両足(あるいは両足だけ)を複数の牛の角に縄で繋ぎ、牛を各々反対方向に走らせて体を引き裂く処刑方法で、戦国時代から江戸時代初期にかけて特定の藩内で行われていた。

 監督に指名されたのは牧口雄二。80~90年代に『暴れん坊将軍』など多くの東映テレビ時代劇を演出し、お茶の間の年配を喜ばせていた牧口監督だが、75年のデビュー作は遊郭の女を描いた『玉割り人ゆき』。何だか痛そうなタイトルの成人映画だが、そんな牧口監督による『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』は、1970年代後半の低予算「エロ映画+ヤクザ映画」2本立て興業というプログラムの中にあって、単なる併映エロ映画の枠を超え、現在もカルトな人気を継続している異色作なのだ。

【この先、残酷模写があるので注意して下さい。グロ内容が苦手な方は、読まないことをオススメします】



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