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『風立ちぬ』公式サイトより

 最近公開されたスタジオ・ジブリの新作『風立ちぬ』が大好評らしい。宮崎駿監督によれば、本作の主人公堀越二郎は、実在する航空機設計技師で零戦の設計者として知られる堀越二郎と、作家堀辰雄を重ね合わせたものだという。

 この映画と時期をあわせるように、所沢の航空発祥記念館では6月22日から「傑作器零戦と人間・堀越二郎」と題した特別展を開催中である。

 特別展では零戦の実物展示や記録映像の上映が行われるほか、堀越二郎に関する今回初公開の資料も公開されている。そしてその資料の中に、堀越二郎が「空飛ぶ円盤」に関してしたためた一文がある。この文章は、堀越二郎が通常使用している罫線入りの用紙に書かれたもので、記念館ではその写真版が「空飛ぶ円盤に関する原稿制作年未確認」として展示している。

■失われた3枚目…堀越二郎のUFO論

 会場には用紙7枚分の写真しかないが、几帳面な堀越は、各用紙の右上に番号を振っているため、本来この文章は8枚のものであるが、3枚目がなぜか紛失していることがわかる。

 その用紙の内容は、アメリカで起きたアーノルド事件(1947年アメリカで、ケネス・アーノルドが9機の未確認飛行物体を目撃した事件)に言及しつつ、アメリカ空軍が心理的な原因によるものと発表したなどの事項を紹介したうえで、航空機設計技師としての観点から円盤型航空機の実現可能性について考察したものとなっている。

 原稿は鉛筆で書かれていたらしく、消しゴムで消した跡や付け加えた跡、誤字も何箇所かあり、決定稿ではないようだ。

 内容についても、アーノルド事件の日付や状況が間違っていたり、アメリカの飛行機会社の名前の後に「?」を付けたりと、逐一資料に確認をとったものではなく、かなり記憶に基づいて執筆しているらしい。それにしても堀越二郎が、当時「空飛ぶ円盤」と呼ばれていた物体、つまり現代のUFOに関心を持っていたことを示すだけでも、歴史的な新発見である。

 やはりしかし、1番気になるのは“消えた3枚めの文書”である。

 2枚目の最後の一文が「結局空飛ぶ円盤は次の12個のどれかに違いない訳だ。最后の12番目以外は空軍報告『心理学上の物体』である」(原文ママ)と記されていることから、“心理学上の物体”以外の解釈がなされた“謎の12番目の報告”が書かれていたことがわかる。

「古い品ですので、すでに用紙自体がなくなっていた可能性が高いです。けれども、この12番目の報告に“UFO研究における最重要事項”が書かれていた場合を考えるとほかの解釈ができますね。文書が出まわることでアメリカの都合が悪くなる可能性もありますし、UFO研究に熱心なロシアが、極秘で日本から文書を奪った可能性もあり得ます」(UFOに詳しい人物)

 この文書の作成年等詳細は不明であるが、文中に「本誌五月号-ジェット飛行機物語・航空原動機の話」という引用が出てくることから、1950年半ば頃のものではないかと推測される。というのは、1949年~1950年頃、少年文化社という出版社が「ロケット」という少年誌を発行しており、この雑誌の1950年3月号から「ジェット飛行機物語」という連載が行われており、5月号のサブタイトルが「航空原動機の話」だったのだ。今回の円盤文書は、この続編のようなものということになるが、実際に何かの媒体に掲載されたかどうかは不明である。

 また文中では、アメリカ空軍が公式報告書を発表し、「空飛ぶ円盤は心理現象と結論した」という部分もある。堀越二郎の文書が1950年に書かれたとすれば、このアメリカ空軍の「公式発表」とは、1949年8月に公表されたプロジェクト・グラッジ報告と推定される。実際この報告書では、空飛ぶ円盤は既存の飛行物体の誤認、あるいは集団ヒステリーによるものが大部分であると述べられている。しかし、“アメリカの空軍が空飛ぶ円盤を心理的産物なりといふ証明をするために態々公式の長い報告書を発表したのは、世間の噂を静めて自分の研究を邪魔されずに進めるためだらうなどと穿った様な説もある位である”と記述するなど、この発表がどういう意図によるものかに関しては、疑問を持っていたようだ。

 堀越は、本文の中で円盤型飛行機の実現可能性を、当時の航空工学に基づいて冷静に論じており、円盤型では人が乗る飛行機としては操作性の問題が生じるが、無人の飛行爆弾のようなものであれば円盤型でも可能としている。またこの場合も、理想的な形は三角形の握り飯型であるとし、もしかしたらこの形の無人航空機の実験が既に行われている可能性も示唆している。そして1989年末から翌年にかけて、ベルギーでUFO目撃が相次いだ際には、三角形のUFOが多数目撃されている。

 所沢航空発祥記念館の特別展は9月31日まで開催されている。

■羽仁礼(はに・れい)
一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員



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