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今にも動き出しそうである

 19~20世紀にかけて海底炭鉱の島として栄え、1960年(昭和35年)の最盛期には、島の人口は5300人を超えていたものの(東京都の約9倍の人口密度であった)”石炭から石油へ”というエネルギー革命によって、1974年に閉山した軍艦島(長崎県長崎市・端島/端島炭鉱)。40年近くも無人島となっていた島が今、脚光を浴びている。 

 軍艦島を真横から見ると、戦艦のような姿をしていることに気づかされる。軍艦島は、戦艦・土佐にその姿が似ていることから、このように呼ばれるようになった。長崎市が管理するようになったのは、2005年のこと。2001年に三菱マテリアルから高島町(当時)に無償譲渡され、2005年に長崎市に高島町が編入された。その後、長崎市の条例によって立入禁止区域に指定されると、元・島民でさえも簡単に上陸できないようになった。

 軍艦島には、日本近代化の黎明期を象徴する建築物が数多く残されている。特殊な工法が用いられた高層住宅群、小中学校、病院、神社・ 寺院跡、映画館跡、商店街跡、プール跡、鉱業所跡…。どれをとっても「産業遺産」と呼べるものだ。その中には、1916年(大正5年)に建てられた日本初の鉄筋コンクリート造りのアパート(30号棟)もある。使われなくなって風化してゆく状態の建築物がこのような形で残されているところは、世界中を探しても軍艦島くらいしかない。

■軍艦島が世界遺産になる日も近い!?

 現在は、建物に倒壊の危険などがあるため、長崎市が認めた観光上陸ツアーを除き、一般の上陸は禁止されている。長崎市が島の東側に遊歩道を整備して観光上陸を”解禁”したのは2009年4月。35年ぶりに”解禁”されることがニュースなどで広まると、全国各地から観光客が押し寄せるようになった。今年前半までの4年間に全国各地から軍艦島を訪れた観光客は約30万人、観光上陸ツアーなどによる収入は約65億円にのぼった。当初は、”ガッカリ観光地になる”などと揶揄されていた軍艦島だが、地元に驚くほどの経済波及効果をもたらせている。
 
 観光上陸”解禁”以降に沸き起こった”軍艦島ブーム”を背景にした新たな動きも見られる。今年6月には、長崎市の協力を得てGoogle日本法人が軍艦島のストリートビューを制作。立入禁止区域を含む島のほぼ全域を「歩くことができる」ようになった。また、インターネットでは、『鳥の目で見た軍艦島』と題された映像を見ることもできる (BS朝日で放映済み)。この映像では、小型のカメラを特製のラジコンヘリに搭載して「空撮」を試みている。

「ノスタルジー」や「昭和」といった枠組を超えて「産業遺産」に注目が集まる今、軍艦島は、2015年のユネスコの世界文化遺産登録に向けて航海を続けている。長崎市内で観光業に携わる男性に話を聞いた。

「夏休みに入ってから、軍艦島に向かうクルーズ船は満席状態が続いています。多くの会社が毎日、午前・午後と2便のクルーズ船を運行していますが、キャンセル待ちをする人たちが並ぶような日もあります。一度上陸すると、『もう一度行きたい』と言う人が多いですね。とりわけ若い人たちは、何度も足を運んでいます。当然、「炭鉱」というものを知らない世代です。それだけロマンがあって魅力的なところなんですね。もちろん、元・島民の方が来られることも多いですよ。自分たちの住んでいた建物や遊んでいた場所を見ると会話も弾んでいます。実は、軍艦島(を含む近代化産業遺産群)は、2015年の世界文化遺産登録に向けて動き出しているんです。九州は地元というだけあって様々な運動が行われているんですが、定期的に勉強会なども行われています。ここでは先人たちが築いてきたものを、後世に伝えるための努力がなされています。この勉強会には、若い人も来ていますよ!」

 この男性は、軍艦島のことを語るとき、キラキラと目を輝かせていた。地元に光が当たっていることが嬉しいのだ。話はさらに続く。

「毎年、世界文化遺産登録に向けて(文化庁が)ユネスコに推薦できる枠は1件しかないんです。2015年の登録については、内閣官房 (が事務局を務める有識者会議)が軍艦島を含む『日本の近代化産業遺産群。九州・山口及び関連地域』として、推しているんです。しかし、世界文化遺産登録に向けての道筋というものは、 そんなに簡単なものではないんですよ。(外務省を通じて)ユネスコに推薦するのは、文化庁なんですが、あそこ(同庁)は隠れキリシタンの歴史を刻んだ『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』を推しているんです。言ってみれば、”九州対決”のようなものになっているんですね (笑)。でも、一部では(軍艦島を含む)『日本の近代化産業遺産群。九州・山口及び関連地域』が最有力とされているんです。それには、軍艦島の観光上陸ツアーの経済波及効果が65億円にのぼっていることなどが挙げられます。注目度の高さが違うんですね。今回、解禁されたGoogleマップでも、海外から賛美の声が多かったことから、世界遺産に登録された場合には、外国人観光客による経済効果も見込めるといわれています。本当にみんな期待しているんですよ!」

 無人島になってから40年という時を刻もうとしている軍艦島。政府は遅くとも今年9月末までに推薦候補を一つに絞り込む。そこで選出されれば、軍艦島が世界人類共通の宝物として認められる日も近づく。そして、実際に登録されることになれば、観光資源のひとつとして日本経済を支えることになるかもしれない。
【軍艦島・絶景写真】

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