――信仰の有無に関わらず、さまざまな場面にスピリチュアル思想が盛り込まれている日本の冠婚葬祭。なんとな〜くやり過ごしているものの、中には「アレ? これってありなの?」と思うようなちぐはぐなものも……。長年の海外暮らしで培ったガイジン的視点から、自身の体験をもとに、日本の婚礼を分析してきた映像ディレクター・古川幸卯子が、前回に続いて“子育て”に欠かせないニッポンの儀式について探ります。

ohkagami.jpg
(c)yuko kogawa

 先日「子宝の神様“木村さん”の携帯待ち受け画像」の話をしたところ、出産経験済みレディズから、びっくりする情報が寄せられました。

 どうやら妊娠レディのために、さまざまなジンクスが創作されているらしいのです。そのほとんどは親戚や年長者から伝承されるようですが、なかでも初耳だったのがこれ。

(1)妊婦さんはお葬式や火葬場に行かないこと
(2)どうしても参列する時はお腹に鏡を入れること

 ……!?

 OH MY〜! まさにエキゾチック・ジャパン(嬉)!

 これって、陰陽道なのかしら。死の涙を跳ね返し赤子を護りたまえオンほにゃソワカ……的な?(雰囲気)

 情報をくれたモモコさんいわく、「そういうナゾの儀式、意外とみんなちゃんとやる」とのこと。毎度のことですけれど、私の外人目線にとっては、ナゾの神秘の儀式がちゃんと根付いてPRACTICE(実践)されてるっていうのが、ほんとオシャレだわ〜。

 理由は諸説あるようですが、まず(1)は、

「(昔の)お葬式って立ち働きが多くて負担になるから、妊婦は参列しないほうがいいよん」

ということのよう。

 そして(2)には、私個人的に勝手な解釈がありまして、

「どうしてもって時には、“妊婦さんは鏡仕込むくらいオオゴト”と周囲に理解を得て、できるだけ労働免除されますようにネっ」

だと思っています。むふふ、PRACTICALでしょ?

 だって……お葬式とは、残された人たちの混乱と切なさを癒やす「おくりだしの儀式」。知ってる顔&知らない顔が全員黒一色に身を包んで、その全員が、たった1人とつながってる。そう、人間が存在するって、それだけでもうすごいドラマ〜と再確認する場面なのです。

 そんなこんなで、お葬式ってなかなか人間愛にあふれる儀式なので、「死=忌むべき穢れ、だから鏡で跳ね返す」という以外の解釈があってもステキだよね、と思いました。

 私も将来の自分の葬式では、私の思い出話なんかしないで、みんなで飲み食いして騒いで、BGMは松田聖子『天国のキッス』かなんかを甘い声のSandiiさんの歌唱でPLAYしてもらえたらうれしいな。ありゃ、妊娠から話が飛んじゃった!

【ニッポン豆知識】
☆「妊婦はお腹に鏡を入れて葬式へ!」の迷信とは……?

 日本には昔から、「鏡には神が宿るため、身につけておくと守ってくれる」という考え方があります。同時に、鏡には「悪いことを跳ね返す」という意味があり、赤ちゃんは霊力が強く、悪霊が憑依しやすいとも思われていたため、死者の霊が胎児に入らないよう、妊婦さんたちがお腹に鏡を入れて葬式に参加するようになったのだとか。

mini-oh-purof.jpg

■市村あらため、古川幸卯子(こがわ・ゆうこ)
1975年、神奈川県生まれ。映像ディレクター、国際マンガ家。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・ファインアート科卒業。11年間のイギリス滞在を経て帰国。ロンドン時代よりTVCM、ミュージックヴィデオ、アニメーション作品など数多く手がける。著書に、福島第一原子力発電所事故後の東京の日常を描いた『3/11-TOKYO INTERRUPTED-東京一時停止-』(Carlsen Verlag社)がある。
公式HP



【検索ワード】  ・  ・  ・  ・ 



オフィシャルアカウント&モバイル
  • twitter
  • facebook
  • RSS
  • モバイル用
  

ハピズムをBookmarkする