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首里城正殿と御庭
 

 夏休みといえば沖縄旅行を考えている人も多いのではないでしょうか? 沖縄旅行の定番といえば、ビーチにグルメに伝統工芸体験等々ありますが、首里城見学もその一つ。正殿内部だけを見てしまいがちですが、その外にはパワースポットや見どころが溢れています。今回は屋外を中心に首里城とその周辺を散策してみたいと思います。

 まずは、首里城とはどんなお城なのでしょうか? 

首里城とは

 首里城の築城はいつ頃かわかっていませんが、琉球王国が成立した1429年にはすでに現在の場所にグスク(城・聖地・集落・墓・砦などに使われた場所)が存在し、政治・祭礼の拠点となっていたようです。城は戦や失火による消失がありましたが、第二次世界大戦以前まで建物は残っていました。しかし、沖縄戦で日本軍が城の地下に第32軍司令部壕を築いたため、米軍の攻撃目標とされ完全に焼失しました。その後、復元が進み、1992年に一部開園。現在も復元作業が行われています。

 琉球王国の王であった尚巴志がこの地を選んだのは、海外貿易の拠点であった那覇を見下ろす位置にあり、周辺は湧水が豊富で、地勢、軍事両面を考慮に入れてのようです。しかも首里城は、城や住居、墳墓の立地として風水に優れた地であるといわれています。そして名前の由来となったのが、城内の一画にある「首里森御嶽(すいむいうたき)」。御嶽とは集落の守護神を祀る聖域のこと。ムイは森、杜という意味で、主に聖域を指します。首里城内外には数多くの御嶽が存在し、城は御嶽の中に築城したといってもいいほどです。

 また、琉球王国では政教一致の支配体制が行われ、その最高位として神女「聞得大君(きこえおおきみ)」の制度がありました。この制度は1477年に即位した尚真王の時代に整備されたとされ、古琉球時代は「聞得大君」は王妃よりも格上で、絶大な影響力を持っていたようです。近世には王妃の次位となり、王女、王の姉妹、王母、王妃などがこの位に就いていました。儀式の際にはオナリ神(姉妹の霊力)を以て、国王の安泰と繁栄を宗教的に保証したようです。

 では、そんな首里城を見学していきましょう。

■首里城内部に潜入!

 まずは総合案内所で位置確認等を行い、守礼門へ。

入り口(国王も安全祈願。沖縄旅行の安全祈願におすすめ)
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園比屋武御嶽石門正面

 門を潜ると現れるのが「園比屋武御嶽(すぬひゃんうたき)石門」。ここは国王が出御の時、道中の安泰を祈願した所です。現在でも地元の人が石門の前にお供え物をして祈願に訪れます。この日は修学旅行の生徒が大勢見学していました。石門の裏に広がる森(ムイ)が御嶽となっていて、そこは木々が生い茂る神聖な場所。ここに立ち入って見学する人はあまりいませんが、石門の裏側へ回ると、わずかですが石畳が残っています。森の中は石門の表の賑やかさがウソのように、静かで厳かな雰囲気。落ち込んでいる時や、気が立っている時など、心を落ち着けるのにオススメ。立ち入りは自由ですが、足元に気をつけて見学してくださいね。旅の安全祈願をしたいなら表に回って門の前で手を合わせましょう。

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園比屋武御嶽石門裏
城郭内(沖縄戦で唯一残った龍頭。強運を引き寄せたい時に)
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歓会門のシーサー

 その次に、歓会門を通って城郭内へ。歓会門には魔除けの大きなシーサーが設置され記念写真を撮る人もちらほら。次の瑞泉門の横には「龍樋」という湧水があり、石造りのプール状になっています。沖縄では、湧水は「カー」「ヒージャー」と呼ばれ、信仰の対象となっています。これはつい最近までそうでしたが、沖縄は常に深刻な水不足に悩まされていました。そのため自然に信仰の対象となったようです。瑞泉とは「立派なめでたい泉」という意味で、水を吐き出す龍頭は首里城の中では沖縄戦で残った唯一の物だそうです。清らかな水が注ぎ、王朝時代には中国からの使節団である冊封使(さっぽうし)の料理や飲料水としても供されたそうです。瑞泉門を抜けると漏刻門があり、それを潜ると日陰台供屋の万国津梁の鐘があります。そして有料区域の券売機がある広福門へ。この門には福を行き渡らせるという意味があるそうです。

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広福門
万国津梁の鐘.JPG
万国津梁の鐘
首里森御嶽とそのほかの礼拝所(首里城の元となった土地の守り神。運気を上げたい時に)
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首里森御嶽

 広福門を抜けると、目に入るのが首里城内でもっとも格式の高い拝所の1つです。「首里森御嶽」。石垣で囲まれたガジュマルが生い茂る小さな森といった感じの礼拝所です。広場にちょこんとあるので、何だろうという感じですが、これが首里城の名前の由来になった御嶽なのです。門はありますが、中には入れません。「琉球開闢神話」によると、神が造った聖地であるとされています。

 また、首里城内にはここを含めて「十嶽(とたけ)」と呼ばれる10カ所の礼拝所があったといわれています。国王が城外の寺社に出かけるときにここで祈りをささげ、神女たちが多くの儀礼を行いました。

かつては誰も通れなかった神聖な道(龍(国王)の通り道。運気を上げたい時や安全、繁栄を祈願したい時に)
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奉神門

「首里森御嶽」に面した奉神門の向こうは有料区域です。奉神門は「神を敬う門」という意味があります。そこを潜ると正面には正殿が大きく構え、門から正殿までは「御庭(ウナー)」が広がります。「御庭」は首里城の中心部で、タイル状の敷き瓦が赤と白の2色使いで広がります。中央の赤い道は「浮道(うきみち)」と呼ばれ、神聖な道として位置づけられていました。王朝時代は国王や冊封使など、限られた人だけが通ることを許されたそうです。現在は誰でも通れるので、堂々と歩いてみてはいかがでしょう。

とっておきのビュースポット(国の守り神で国王の象徴である龍。安全や繁栄を祈願したい時に)
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正殿外観

 そこから正殿を眺めると、色鮮やかな龍の彫刻や文様が目に止まります。龍は中国皇帝の象徴とされ、進貢する琉球でもこれに倣い、琉球国王の象徴にもされていました。そのため国の守護神として建物や工芸品に龍が多く使われています。屋根には陶器の龍頭棟飾、階段の両脇には石造りの大龍柱と小龍柱、木造の向拝柱・欄間・唐破風妻飾彫物額木には金龍のレリーフがあるなど、数多く龍が表現されています。

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大龍柱

 また、この龍の特徴として、爪が4本描かれていることが挙げられます。ちなみに中国の龍は爪が5本、日本の龍は3本が主流のようです。爪の本数は、中国から琉球国王は4爪、3爪を使うことが許されたといわれています。時に、琉球でも5爪の文様が使われることがあったようですが、基本的に4爪を使っていたようです。そして、首里城の龍のほとんどは、口の開いている阿形と口の閉じている吽形で一対になっています。龍の他には、登り高欄にいくつものシーサー、向拝柱奥小壁の金獅子などがあります。どちらも守り神で、琉球を守る意味が込められていたのかもしれませんね。

首里城のウラスポット(首里城最大の信仰儀式の場。旅の安全、出世開運祈願など)

 次に訪れたいのは、一般的な順路からは外れた京の内。ここは一見何もない森ように見えますが、とても神聖な所。首里城内最大の信仰儀式の場で、詳しくはわかっていませんが、十嶽のうち4嶽はこの京の内にあったようです。所々に石積みで区画した「イビ」と呼ばれる拝所が点在し、中にはヤシのような植物が茂り神秘的な雰囲気が漂います。イビの中に入ってみると、厳粛な気持ちになりました。王朝時代には聞得大君や大アムシラレといった神女たちが、「王家繁栄」「航海安全」「五穀豊穣」等を祈る儀礼を行なっていたようです。

 京の内を見学した後は、城郭の外側を見てみましょう。

祈祷スポット(航海安全の拝所。旅の安全祈願に)

 まずは「弁財天堂(べざいてんどう)」と「円鑑池(えんかんち)」。ここは1502年に交易のあった朝鮮王から贈られた方冊蔵教を納めるために建造されました。池に築かれた小島への橋は「天女橋」と名付けられています。沖縄戦で建物は焼失しましたが、1968年に復元。取材当日は地元の人がお供え物を置いて御願(ウガン=祈祷)をしていましたので、今回は遠くから見守りました。

弁財天堂と円鑑池.JPG
弁財天堂と円鑑池
円覚寺(王家の菩提寺。悪い運気を変えたい時に)
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円覚寺

 その向かいにあるのが「円覚寺」。ここは歴代国王、妃、王家の人々の神位を安置した菩提寺です。ここも沖縄戦で建物は焼失しましたが、1968年に総門だけを復元。中の石橋である放生橋は戦火を潜り抜け、そのレリーフは国指定重要文化財に指定されています。門の中に入るのはちょっと難しいですが、横の斜面から敷地全体を見渡すのは可能です。ここで興味をそそられるのは、沖縄は独自の信仰がありながら、仏教も共存していたこと。どんな風に共存していたのか、調べてみても面白そうです。

歴史が詰まったスポット(冊封使歓待の池。風水パワーが高まる)
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龍樋

 その後は円鑑池に隣接する「龍潭(りゅうたん)」へ。ここは冊封使(中国からの使節)のすすめで、1427年に国相であった懐機(かいき)が作庭したものです。ここで冊封使の歓待にハーリー(爬龍船競漕)が行われたそうです。現在は公園として整備され、敷地内には日本軍が築いた司令部壕の跡も見られます。取材当日はバリケンが遊歩道の真ん中を堂々と歩いたり、カメが日向ぼっこしたりで、のどかな雰囲気でした。夜は、首里城がライトアップされ、龍潭通りから池越しに首里城を眺めると城が天空に浮いたように見えるのでオススメです。

 これで首里城散策を終わりますが、最後にはやっぱりお土産がほしいですよね。そこでおすすめなのが首里城限定「ベビードラゴン」。これは首里城公園初のオリジナルぬいぐるみだそうで、公園内の「首里杜館(すいむいかん)」でしか買えません。大1,680円、小1,000円。旅の思い出にぜひ!
(取材・文=島袋直子/comichan総合)

首里城に行くには】
【場所】
〒903-0815 沖縄県那覇市首里金城町1-2
【電話番号】
098-886-2020(首里城公園管理センター)
【営業時間】 
有料区域:4~6月8:30~19:00、7~9月8:30~20:00、10~11月8:30~19:00、12~3月8:30~18:00
無料区域:4~6月8:00~19:30、7~9月8:00~20:30、10~11月8:00~19:30、12~3月8:00~18:30
休館日:有料区域、首里杜館:7月の第1水曜日とその翌日
    無料区域:無休
入館料金:大人800円、中人(高校生)600円、小人(小・中学生)300円、6歳未満無料 駐車場:310円

参考文献:『首里城が楽しく学べる 首里城物語』(一般財団法人沖縄美ら島財団)
『首里城公園ガイドブック』(一般財団法人沖縄美ら島財団 首里城公園管理センター)
『沖縄コンパクト事典』(琉球新報社)



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