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画像は、Facebookより

 貧民街の聖女と呼ばれ、宗教を問わず世界中の人々から崇められてきたマザー・テレサ。イングランドのバラと呼ばれ、悲劇的な事故死で美しいままこの世を去り、聖女化されたダイアナ妃。インドのカルカッタにあるスラム街で、長期間にわたり、苦しみのなかにいる貧しい人々に献身的に尽くしたマザーと、イギリス王室に嫁ぎ、世界的にダイアナ・フィーバーを巻き起こしたダイアナは、陰と光ほど違う世界に属すると思われがちである。しかし、2人には親交があり、手紙を交わす仲だったと伝えられている。マザーはダイアナのことを、「我が娘」と呼ぶほど好意を寄せ、チャールズ皇太子との離婚を「よいこと」だと発言して、世間を驚かせたこともあった。

■ダイアナ妃の生い立ち

 アングリカン信者の家庭に誕生し、生後間もない頃、サンドリンガムの聖マグダラ教会で洗礼を受けたダイアナ。離婚後は、カトリックへ改宗することを考え、亡くなる直前はイスラム教への改宗を考えていたとも伝えられているが、彼女は生涯に渡り、アングリカン信者だった。アングリカンは、カトリックとプロテスタントのハイブリッドだと言われることが多く、そのためか、ダイアナはカトリック信者であるマザーの言葉を素直に聞き入れ、深く尊敬していた。患者の宗教に関係なく面倒を見ていたマザーも、アングリカンのダイアナをとてもかわいがっていたという。

■ダイアナとマザー・テレサの交流の始まり

 2人が、交流を始めたのは1991年。同年、ロンドンで開催される某授賞式で面会しようと、マザーがダイアナ妃に手紙を送ったのが、始まりだったと伝えられている。マザーが体調を崩したため、この面会は叶わなかったが、翌年2月、ダイアナ妃が、イタリア・ローマの労働者階級地区にあるマザーの修道院を訪ねたことで、2人は初対面を実現させている。

 マザーの側近シスターだったメリー・ジョンソンは、後に、この時の面会が予定をはるかに超え、30分にも及んだこと、2人きりでチャペルに入りイエスに祈りを捧げたことを、米リベラル系インターネット新聞「ハフィントン・ポスト」に明かしている。

 2人が最後に会ったのは、97年6月。アメリカ、ニューヨークのブロンクスにある修道院施設に滞在していたマザーを、ダイアナが訪問したことで実現した。2人が交わした言葉や、手紙などは公表されていないが、死後、世界各国で開催されたダイアナ展『Diana, A Celebration』には、93年にマザーがダイアナに贈ったという祈祷書が展示されており、2人の親交の深さを物語っている。

■マザー・テレサ、痛恨の失言

 親交の深さゆえか、はたまた詳しい事情を直接聞いていたからか、マザーは、ダイアナが離婚した際、カトリック信者たちを驚愕させるような発言をしてしまった。敬虔なるカトリック信者であるマザーは、避妊、妊娠中絶、離婚を罪だとし、絶対にしてならないと声を大にしてきた。しかし、92年12月から別居生活を送っていたダイアナが、96年に離婚することが確定したとき、米女性誌『Home Journal』4月号の取材に対して、「(ダイアナは)本当にかわいそうな子だ。彼女は多くの愛を与えているのだから、少しは取り戻すべき。(結婚が)終わったのは、喜ばしいことだと思う。(あの結婚生活で)幸せな者など、誰一人としていなかったのだから。自分が、家族愛や家族の絆を説くべきき立場にいるとは分かっているけれど、このケースはね・・・・」と、ダイアナ妃の離婚を認めるどころか、祝福するような言葉を述べたのだ。

 この発言は、たちまち世界中に伝わり、マザーはすぐに宗教新聞「カトリック・ヘラルド」に、「私は、離婚を勧めたことなど一度もない。夫婦間に問題が生じたら、神に祈りを捧げなさいと、常に説いてきた」という言葉を寄せ、一貫して、離婚には反対していると主張。「神は男と女を創られた。結婚をしたら、男と女は交わり、一つになる。神のお導きにより一つになった夫婦を引き離すことは、決して、してはならない」と説き、弁解しているようだ、偽善的だという声が上がった。

■マザー・テレサにのめり込んだダイアナ妃

 宗派分け隔てなく、すべての人に慈悲の心で接していたマザー・テレサは、ダイアナにとってヒロインだった。1992年に、チャールズ皇太子とともにインドを公式訪問したときには、マザーの仕事ぶりを実際に見て、深く感動していたと伝えられている。インドのコルカタ(旧カルカッタ)に、「シシュ バハン」という孤児院、「プレム・ダン」という老人・障がい者施設、「ニルマル ヒリダイ」、通称「死を待つ人の家」という施設を作った、マザーの血の滲むような努力と苦労は、ダイアナに強いインスピレーションを与えた。マザーの思い、願い、そして、「神の愛の宣教者会」活動を支持すると、語ったこともある。

 積極的に慈善活動に関わっていたダイアナのことを、世間は、まるでマザー・テレサのようだと絶賛した。その言葉を聞く度、ダイアナは、「だとしたら、とても、小さな、小さな、マザー・テレサね」と謙遜した。

 しかし、ダイアナ妃がマザーに深い敬意を払うようになった「神の愛の宣教者会」の活動も、実は、この上なく偽善的なものだったと報じられたことがある。



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