――信仰の有無に関わらず、さまざまな場面にスピリチュアル思想が盛り込まれている日本の冠婚葬祭。なんとな~くやり過ごしているものの、中には「アレ? これってありなの?」と思うようなちぐはぐなものも……。長年の海外暮らしで培ったガイジン的視点から、自身の体験をもとに、日本の婚礼を分析してきた映像ディレクター・古川幸卯子が、今回からは“子育て”に欠かせないニッポンの儀式について探ります。

ichimurakosodate01.jpg
(c)yuko kogawa

 結婚後、子どもが欲しい! というカップルにとって、最初に訪れる“儀式”といえば、「子宝祈願」。実は、日本と比べてヨーロッパでは、日常会話に出るほど耳慣れた言葉ではありません。そのため、心の半分に異文化フレーバーの残る私にとっては、かなりのインパクトなんです。

 私も子どもは欲しいです。駄菓子菓子(だがしかし)……「子宝祈願」という文字を目にするたび、息苦しいというか、憂鬱になるというか。「う~ん、念が重い!」と感じてしまうのです……。

 というのも、ニッポンで暮らすようになってから、未婚女性には「適度にエロく、基本はかわいくしとけ!」、結婚した途端に「子どもを産め! 産まぬのか!? キエ~!」、ついでに年を重ねようものなら「もう女っ気だすな! 理想のおふくろっぽくしてろ!」という、何処か彼方からの ”切り替え圧力JETアタック” を、いまだに感じちゃうからです~。

 現実の女性たちの人生って、それぞれ多様で、おおいに揺れてて、もっとダイナミックなものだよね~? と。

 もうひとつあるとすれば、私自身が妊娠未経験なので、まだピンと来ないのかもしれません。そこでまずは、取り急ぎ、出産したての美人ママに教えてもらった「子宝の神様 木村さん」を携帯電話の待ち受けにしてみました。……あっ! もしかしてこの胸の重々しさは、「子宝祈願」という単語を目にしただけで、もう私の身体が想像妊娠ならぬ”想像つわり”を発動しているのかしら? OH子宝祈願……やっぱり恐ろしい子(by「ガラスの仮面」の月影先生)!

【ニッポン豆知識】
☆子宝祈願とは……?

 そもそも子宝祈願とは、子どものできない夫婦が、子どもを授かるように祈願をすること。一般的には、子宝成就のご利益のある神社で祈祷をしてもらったり、お守りを購入したり、絵馬を書いたり。子宝祈願の神社は、東京なら水天宮、京都なら梅宮大社……と、全国各地に存在しています。

 しかし、ここは“何でも願掛け”のニッポン人。「子宝の神様 木村さん」をはじめ、その願掛け方法はさまざま。

 木村さんなんて、2000年頃に中国の深センに住んでいた木村さんという日本人が、ある村の民芸店で一目惚れして購入した泥人形を日本に持ち帰り、お土産として渡した友人が妊娠。不妊で悩んでいる夫婦にその人形を見せたところ、その友人夫婦たちも次々と妊娠した、というエピソードから“なんとなく”崇められているのだとか。

 神社で祈祷……にはプレッシャーを感じる人は、そんなお手軽なものから始めてみてはいかがでしょうか。

mini-oh-purof.jpg

■市村あらため、古川幸卯子(こがわ・ゆうこ)
1975年、神奈川県生まれ。映像ディレクター、国際マンガ家。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・ファインアート科卒業。11年間のイギリス滞在を経て帰国。ロンドン時代よりTVCM、ミュージックヴィデオ、アニメーション作品など数多く手がける。著書に、福島第一原子力発電所事故後の東京の日常を描いた『3/11-TOKYO INTERRUPTED-東京一時停止-』(Carlsen Verlag社)がある。
公式HP






オフィシャルアカウント&モバイル
  • twitter
  • facebook
  • RSS
  • モバイル用
  

ハピズムをBookmarkする

最新コラム

【儀式編第1回】日本の子宝祈願に感じる“出産プレッシャー”と、話...

 結婚後、子どもが欲しい! というカップルにとって、最初に訪れる“儀式”といえば、「子宝祈願」。実は、日本と比べてヨーロ...

TOCANA