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伝説の編集者・角南攻氏

 集英社の入社以来、週刊ジャンプの創刊に関わり『ハレンチ学園』『トイレット博士』『リングにかけろ』など、数多くの名作を生み出した名編集者・角南攻氏。ヤングジャンプ創刊や映画『デトロイト・メタル・シティ』なども制作したその手腕は業界でも伝説になっています。そんな角南氏ですが、実は超能力や霊などスピリチュアル好きでも知られています。そこで、マンガと超能力の関係についてお話を伺いました。

―――さっそくですが角南さんは超能力を信じているのでしょうか?

角南攻氏(以下角南) 超能力っていうか、的なものが見える能力は子どものころからあったね。あのころは身体が弱かったので、外に出られず、家の中でずっと名作全集とかを読んでいたんだよ。そうしているうちに、家の天井の模様とかと話ができるようになったりしてね。女性作家とかにも多いけど、子どもの頃から身体が弱いとか、虚弱児とか、生死をさまよう事故にあったとか、そういう人はいろんなものと会話できちゃう人が多いんだ。

 ジャンプ創刊のころには、生駒山に仙人とか妖術使いがいるという話を聞いて見に行ったこともある。今では考えられないけど、あの時代の奈良にはうじゃうじゃ能力者がいてね。ウソみたいな時代だった。ジャンプの編集をやってからも超能力ブームだったから、ユリ・ゲラーとか秋山眞人ちゃんとか、スプーン曲げの清田くんとかたくさん特集したよ。

―――その能力がヒット作に通じたのでしょうか?

角南 僕は、実生活の中での“カン”というか、ひらめきというか、そういうのがときどき出る。誰でも仕事に夢中になってハイテンションになると、そういう能力はつきやすくなるよ。徹夜4日目とかで頭のなかに蝶が飛ぶような状態のときに、何か“ヒント”のようなものが出るんだよ。

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(C)とりいかずよし

 ジャンプ編集部では、昔は部数会議っていうのがあって、翌週の刷る部数を会議で決めてた。その時「だいたい6月の下旬だと梅雨だから少ない部数を刷ればいいかな」って言う人がいたんだけど、僕には本屋でジャンプを買っていく子どもたちの姿が見えるんですね。たとえば「88万部」だとか、その週の売れる部数が見えちゃう。ほかの奴らは「いくらなんでも88万部は無理だ」と反対するんだけど、やってみると絶対売れる。そういうのがわかるんだよね。

―――漫画家さんでもそういう能力がある人が多いと聞きますが、何か印象的なエピソードはありますか?

角南 なんといっても永井豪ちゃんだね。40年前、豪ちゃんと新宿にいたら「僕は未来の新宿から転生した」と告げられたんだよ! あれにはびっくりしたね!! タイムシフトやパラレルワールドなんか一般に知られていなかった時代だからね。さらには「三角屋根が3個並んだ建物があっちのほうにあって、ガラス張りで廊下がつながってるのが見えるー」って、言いながらさらさらとスケッチを描きだした。それが20年後には本当に現実に新宿にウェスティンホテルとか都庁とか建てられているんだからね。

―――その能力が永井豪さんの数々のヒットにつながったんでしょうか?

角南 『マジンガーZ』(講談社)はきっとそうじゃないかな。ほかにも、豪ちゃんにはエピソードがいっぱいあって。ある日、新連載を頼もうと、すっかり売れっ子になった豪ちゃんに会ったら元気がなく以前より痩せている。理由を聞いたら、「3歳のときに夢で見た巨大な鬼が、『手天童子』(講談社)の連載を始めたと同時に再び現れる」と言うんだよね。執筆中に絶え間ない吐き気に襲われて、倒れこむと夢に鬼が出てくるらしいんだ。毎回寝るたびに38~40度の熱が出てうなされていると聞かされたね。

―――鬼が見張っていたんですか?

角南 『手天童子』の連載前に鬼の頭蓋骨があるというお寺に取材に行ったんだけど、戻って写真を現像したら、ネガも引き伸ばした写真も全部血だらけ。気持ちが悪いから、家の仏壇で供養しようとしたら、仏壇が木っ端微塵に吹っ飛んだり……いろんなことがあったそうだよ。あとは、その前に連載していた『デビルマン』(講談社)を連載しはじめた途端、身体がだるくて妙に疲れるようになったとか。ネームもセリフも完璧にできているのに、圧力が加わっているみたいに身体中が固まって手が動かない状態になったことがよくあったって。

―――漫画家のインスピレーションのきっかけとなった不思議なものはなんでしょう?

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(C)とりいかずよし

角南 豪ちゃんは3歳のときに“恐竜を見た”と言ってたね。あとは、藤子・F・不二雄さんも小さい頃、天井裏で子どもを見たのが、『オバケのQ太郎』(小学館)のヒントになったと聞いた。僕も子どもの頃、屋根裏で白髪の老人に何回か会ったことがある。病気で腹を切って20キロぐらい体重が減ったときには、電車に乗る人がキツネとか狼とかに見えた。僕の場合は、具合の悪いときはそういうのが見えるわけだけど、理由は、免疫が落ちたときに脳の神経伝達の仕方が変わるんじゃないかと思っているよ。あとは、司馬遼太郎なんかも『竜馬がゆく』(文藝春秋)を書く前に、高知とかの風景が見えて、竜馬が住んでいた家の木目まで見えたそうだ。たいていの漫画家や作家はそういうエピソードを持っている。そして、そういう不思議なエピソードがあるものが、ありえない大ヒットに繋がるね。
(取材・文=樫原叔子)

■角南攻(すなみおさむ
作家・編集プロデューサー。1968年『少年ジャンプ』創刊時に集英社入社。『ハレンチ学園』『トイレット博士』『リングにかけろ』などを担当し社会的ヒットとなる。79年『ヤングジャンブ』創刊。10年間編集長を行い、青年雑誌最大発行248万部樹立。編集長の傍ら『みんなあげちゃう』『少年アシペ』他TVアニメを延160本、日本・香港合作による『孔雀王』など映画など映像化を推進する。93年メディアミックス部を創設し、アニメ『ドラゴンボールZ』『ジョジョの奇妙な冒険』等を制作。97年白泉社取締役就任。『ペルセルク』『ガラスの仮面』『しばわんこ』など500話ものアニメ制作プロデュースを行うと共に、映画『デトロイト・メタル・シティ』『大奥』制作統括。常務取締役・顧問を経て現在フリー。

画像はすべて『トイレット博士』の中でスナミ先生として登場する角南さん。



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