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画像は、GLOBALTIMESより

 先月はじめ、陝西省延安市にて四人の男に禁固刑が言い渡された。彼らの罪は「死体の盗掘」。いまだ数多くの人身売買や、“医療”目的での死体盗掘が行われるともいわれる中国において、これは別に珍しいニュースではないかもしれない。

 しかし判決で明らかになった彼らの「盗掘」の理由は驚くべきものだった。盗掘した男たちは、これから死ぬ独身男性と一緒に埋める「死後の花嫁」斡旋のために、女性10人の死体を掘り起こしたというのだ。

 男たちは周到にも、死体を掘り起こした上でそれを洗浄し、さらには値段を吊り上げるための検死カルテまで作成していた。そして女性の死体を日本円にして400万円程度で、闇市場に流していたのである。

 この奇習は「死後結婚」といわれ、まるでどこぞの新興カルト宗教のようである。しかしその起源は古く、一説に紀元前17世紀にまで遡るとされ、唐朝の時代に最も盛んとなった歴史的な習慣なのだ。

 文化大革命以降の中国ではほとんど行われなくなったといわれていたが、実際には、まだ陝西省や山西省の一部で密かに行われていることが、たびたび起こる死体盗掘事件で明らかになっている。

 たとえば昨年2月には、ある若い女性の遺体が「死後結婚」目的のために盗掘されるという事件があった。しかし驚くべきことに、盗掘された女性の遺体はそもそも、別の男性と「死後結婚」のために(その女性の)遺族によって別の家族に売られ、埋葬されていたことが明らかになったのだ。

 また、2009年には、息子を交通事故で失った父親が、盗掘者に約40万円を支払った上うえで、「息子の死後結婚相手を盗掘してほしい」と依頼、実際に十代の少女の死体が掘り起こされて密売されるという事件も起きている。

 事件を伝えた陝西省の新聞は、この事件が起きた背景として、「2011年の石炭価格の上昇で、石炭の産出地である陝西省の村々に突然大金が入った。いまだ迷信深い彼らの村に大金が入ったことで、理想的な死後結婚相手を買うだけの余裕が生まれたためでは」と分析している。

 事実、この習慣は今も根強く、「死後結婚」を望むのは決して死体を買うだけの余裕がある裕福な人々だけではない。

 たとえば「死体の花嫁」をもらうだけの経済的余裕のない男の場合は、ワイヤーで作った人形を花嫁に見立てて一緒に埋葬したり、あるいは「安価な」白骨化した古い死体を買い、埋葬するようなケースもあるのだという。

 極端な経済成長と爆発的なインフレ、そしていまだ迷信深い山村部の人々。一枚岩では捉えられない中国の広大さと、いびつさを象徴するような、いかにも不気味な事件である。
(木林純一)



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