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『金正恩の北朝鮮 激変する
人民ライフと権力の内幕 (宝島社)
 弱冠、31歳の金正恩氏率いる北朝鮮が韓国やアメリカ相手に挑発を続け、この10日にも新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験をするらしい。

◆北朝鮮がミサイル発射実験をする意図

  3代に渡る世襲国家・北朝鮮は従来から相手を挑発しながら危機を煽り、なだめすかそうとする周辺国から経済援助などを獲得しようとする「瀬戸際外交」をも世襲で引き継いでいる。今回は射程3000kmを超えるといわれるムスダンを、アメリカのグアム近くの海上にミサイルを落下させて、アメリカを直接交渉の場におびき出す計画といわれる。つまり北朝鮮をなだめすかすアメリカと交渉し、その延長線上で国交を結ぶことで北朝鮮の国家体制を存続させたいらしい。

■日本の対抗策

 一方、アメリカはミサイル発射に警戒態勢を強め、日本も自衛隊に迎撃態勢をとらせる「破壊措置命令」を出した。ミサイルが日本に落下するなら、それを打ち落とす覚悟なのだ。既に東京の市ヶ谷にある防衛省の敷地内にはミサイルを打ち落とす迎撃ミサイル・PAC3が配備されているのだが……。

 日本人の中には、自衛隊の力を信用し、度重なる北朝鮮のミサイル実験の報道に「またか……」と、思っている人も多いだろうが、実は、まだ多くの危険性をはらんでいるのだ。その代表的な4つの事実を紹介しよう。

1、日本に落下する可能性はゼロではない! かつて秋田県に落下する可能性があった

  では、ミサイルが日本に落下する可能性はあるのか? 端的にいえば、その可能性はゼロではない。実は1998年に北朝鮮がテポドン1号と呼ばれるミサイルの発射実験を行った際に「あわや」という出来事があったのだ。

  この時、日本の海上自衛隊は密かに日本海沖にイージス艦「みょうこう」を派遣して北朝鮮のミサイル発射を探知しようとした。結果から言うと、「みょうこう」のレーダーはテポドン1号の発射の瞬間を捉えた。そして得られたデータを解析し、瞬時に着弾予想地点を割り出した。当時、「みょうこう」に配属されていた海上自衛隊のある幹部は次のように証言する。

「発射直後、艦内にある戦闘指揮所のスクリーンに着弾予想地点が表示されたのですが、それは秋田県北部でした。ほんの数秒、指揮所内が奇妙な沈黙に包まれました」

  だが、着弾予想地点はその直後、どんどん東側に移動し、日本列島を超え、はるか太平洋の方まで伸びていった。日本に着弾する最悪の事態は避けられたが、それでも日本列島の頭越しにミサイルが飛ぶという前代未聞の事態となった。

2、北朝鮮のミサイルのコントロールの悪さこそ脅威!

  北朝鮮も何も考えていないわけではないので、発射時点で日本やグアムの陸地に落ちないようには注意を払っているといわれる。そんなことをしたら、アメリカが黙ってはいない。経済苦境に喘ぐ北朝鮮がアメリカの攻撃を受けたらひとたまりもないからだ。

 しかし、北朝鮮が狙い通りグアム近海にミサイルを着弾させられると保証はない。そもそも北朝鮮のミサイルは、アメリカのトマホークミサイルなどのように、偵察衛星から得た情報でミサイルの位置をコントロールしたりはできない。おおよその狙いを定めて発射したら、厳密にどこに落ちるかはわからないという極めてアナログな手法だ。しかも、過去にはミサイル発射直後に空中爆発して失敗したこともある。つまり、意図しなくとも日本に落下、あるいは日本上空で空中爆発ということもありうる。

3、自衛隊が配備した撃墜ミサイル「PAC3」の成功率は50%しかない!!

 ならば、自衛隊が配備したPAC3で打ち落とせとなるだろうが、実のところPAC3の迎撃成功率は概ね5割程度。つまり2回に1回は失敗するというのが現実。加えてムスダンは移動式ミサイルと言われ、大型トラックを改造した荷台などを発射台にできるため、偵察衛星などで、発射場所を事前に捉えることは難しいともいわれている。実際には打つ手なしに近いのだ。

4、実験ミサイルとはいえ、殺傷能力が高い!

 ちなみに、このムスダンは実戦時に1,000kg程度の爆弾を搭載できると推定されている。今回は、実験である以上、爆弾部分は空だと思われるが、それでも市街地で着弾すれば、破片が四方八方に飛び散り、それだけで殺傷能力は十分にあるという代物。しかも金正恩氏は、北朝鮮が2010年に韓国の延坪島に実弾で砲撃を加え、韓国側に4人の死者が出た事件を現場で主導した人物ともいわれている。

 ここまでくるともはや、ひたすら多くの日本人が祈りの力を発揮して、北朝鮮のミサイルのコントロール力の向上を願うしかないのかもしれない……。
(真田 秀久)



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