■貧困が招いた暴力の衝動

 だが、国連の特別調査委員は、自警団とは名ばかりで、女性の財産を奪う口実だと主張。「魔女狩りを行うのは若い男や少年たちが主で、地域のリーダーの指示で動いている」「実行犯は、犯行する前に、薬や酒を飲む。シラフではない」と、英テレビBBCの取材班に明かしている。2月に起きた、前述の事件の犯人たちも、アルコールのにおいをプンプンさせ、ラリっていたのではないかと伝えられている。

 オーストラリアの新聞は、「パプアニューギニアでは、男性から女性へのDV率がとても高い。男性と婚姻・交際中の女性の、実に2/3がDV被害者だといわれている」と報道。罪悪感なく女性に暴力を振るう男性が多いことが、魔女狩りをヒートアップさせているのではないかという見解を示している。

 パプアニューギニアの人口の85%、650万人あまりは、僻地に住んでいる。電気はなく、学校、医療施設もない場所に住んでいる彼らは、日ごろから不満を抱いており、魔女狩りをすることによりガス抜きしているのではないかという説もある。1971年に、黒魔術を行った者は最高で禁錮2年に処すという法律ができたが、「魔術に対する処罰は、そういう形で行うべきものではない」と大半が裁判所には持ち込まれない。

 女性への暴力をなんとも思わない男性たち。人の死は魔女のせいだと信じている人々。人口の98%はクリスチャンだとされているため、教会も、魔女狩り問題に取り組もうとしているのだが、「文化だから」となかなかうまくいかない。魔女狩りは、国にとって深刻な問題であるが、アンタッチャブルな問題であるため、誰もが手を出せずにいるのだ。

 命からがら逃げ出すことに成功した被害者もいるが、誰一人として助けてくれない恐怖は、この上なく恐ろしいものだと証言している。誰もかれもが黒魔術を恐れているパプアニューギニアで、魔女狩り問題が解決する日は、まだまだ先のことだろう。



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