昨年7月には、マダン州ボギアに住む7人の住民が、大勢の村人に殺害されるという事件も発生している。警察は当初、この地で長い歴史を持つ、カーゴ・カルト信仰者の仕業ではないかとにらんだ。カーゴ・カルトとは、先祖や神が飛行機などに乗りやってくるという招神信仰。呪物崇拝でもあるとされており、7人が儀式の生贄になったと推測されたのだ。しかし、その後、被害者は魔女狩りをしていた集団により殺害されたことが判明。逮捕された29人のうち12人が殺害に関与し、全員が、被害者の人肉を食したことが明らかになった。殺人、人肉嗜食の罪で逮捕された彼らは、「スピリットに導かれ、魔女を見つけた。だから殺した」と証言したという。魔女狩りをしていたグループのリーダーは、なんと村の議員だった。

 これらの魔女狩りが頻繁に行われているのは、主にハイランド地方だと伝えられている。パプアニューギニアの中央部、3000m級の高山が連なる山間に点在する小さな村々で、この手の事件が多発しているというのだ。ハイランド地方は1930年まで外部とのコンタクトがなく、村の結束はとても固い。魔女狩りは村全員がグルになって行われているため、発覚しにくいともいわれる。1カ月の間に、20人が魔女狩りにより殺されたという報告もあるのだが、村人たちが非協力的なため、警察は正確な数字を把握できないでいるという。

■なぜ、魔女狩りがなくならないのか?

 パプアニューギニアでは、大昔から「プリプリ」と呼ばれる黒魔術が行われてきた。人々は誰かに不満を持つと、黒魔術で呪いをかけてきたのだ。なお、呪いをかけられた側は、白魔術でその呪いを消すそうだ。

 このように黒魔術は、「呪いをかける」「毒をかける」「殺す」こととして、皆から恐れられている。そして、誰か死ぬと、黒魔術をかけられたからだと人々は震え上がるのだ。老衰であっても、明らかに病死であっても、事故死であっても、誰もが「呪いが死因」だと思うのである。パプアニューギニアでは、人口の90%近くがマラリアに罹患する危険性があるとされており、毎年200万件近くが報告されている。このマラリアも、黒魔術のせいだといわれており、魔女狩りに拍車をかける要因となっているようだ。

 こういった背景があるため、魔女狩りは誰かが死んだ直後に行われるそうだ。人の死を自然なものだと受け入れられない彼らは、黒魔術をかけた魔女のせいだとし、有無を言わさず殺すのだ。ハイランド地方の村には、自警団と称する魔女狩り団がおり、疑わしいものを次々と狩り、拷問を加えて殺す。



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