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袈裟とか道具とか、そろえるのに一苦労

――家の宗派と違うお寺にお参りしても大丈夫? お坊さんはどうして頭を剃っているの? 意外と知らない仏教のあれこれから、ちょっと気になる疑問や不思議なしきたりは、直接お寺に聞いちゃいましょう!

<今回のギモン>
その気になれば、誰でも出家できるの?

<聞いたところ>
秩父にある真言宗のお寺

 普段、お寺とはまったく接点がないので、仏教やお寺のことって、正直、謎がてんこ盛りです。こんなこと聞けない、と思うことも、どんどん聞いていきたいと思います。

 現代は、職業選択が自由な時代です。こんな私でも、その気さえあれば出家できるでしょうか? 不安定なフリーランスより、僧になるほうがいい(主に自分の生活のために)のではというたくらみも、チラッと頭をよぎります。チョッピリ打算を抱えつつ、聞いてみることにしました。

――その気になれば、誰でもお坊さんになることはできますか?

お坊さん はい、できます。

 即答でした。修行のことや仏教のことはさておいて、「いざとなったら、お坊さんという道があるかも」という、よこしまな動機がムクムクと頭をもたげます。

お坊さん ……できますが、現代日本の仏教では、出家をしても、食べていくこととイコールにはならないんですね。誰でも僧侶にはなれますが、生活につながっていくかというと、難しいところがたくさんあるんです。
 
――はい。

お坊さん 基本的には、どの宗派でも、出家をするためにはお師匠さんがいないといけない。要するに、身元引受人ですね。具体的な勉強などは、大学に行ったり、本山にこもったりという方法があるのですが、その前にお師匠さんが必要で、学校の勉強とは別に、いろいろな儀式があります。

――そうなんですか。

お坊さん 真言宗では、得度(とくど)いって、入学式のような儀式があります。その後は大学の勉強と別に、私たちが「加行(けぎょう)」といっている行に入ります。規定の日数、決められた道場でこもるんです。そして最後に、水をおでこにつける「灌頂(かんじょう)」という、卒業式のような儀式があります。その後に、お坊さんとしてスタートします。

――その儀式を一通り受けると、お坊さんになれるわけですね。でも、お師匠さんがいないとなれないんですよね?

お坊さん はい。浄土真宗はちょっとわからないのですが、おそらく、ほとんどすべての宗派では、そういうシステムをとっていると思います。宗派によりますが、一般的にはこういう流れですね。お師匠さんは、弟子の生活を面倒見ないといけないわけです。昔なら、お寺に住んで衣食を賄えたわけですが、現代社会では、お坊さんも結婚したりして、一般の人と同じ生活スタイルなので、ある程度のお金が必要です。給料を得て生きていくことが可能かというと、かなり難しい。だから、お師匠さんになりたがる人が少ないという問題もあります。

 お師匠さんは、全責任をもって弟子を育て上げて、面倒を見なければならないので、経済的な面でサポートすることが簡単ではないのだとか。お坊さんは、経済的に潤っているという勝手なイメージを持っていました……。

お坊さん そのため、世襲制が深まっていくという側面もあるんです。私も世襲なんですよ。お寺の数よりも、僧侶の数のほうが圧倒的に多いです。

――お師匠さんになってくれる人が、そんなにいないとは意外です。

お坊さん 弟子の全責任を負うということなので、どういう人かわからない人を安易に弟子にできないという事情もあります。罪を犯して逃げていることも考えられるので。それこそ、1~2年一緒に暮らしてみないと、僧侶になるのに向いているのかどうかなどわからない。履歴書を持ってきて面接だけで決められるものではないので、弟子をとるというのはものすごく難しくて、しっかり考えなければいけないことなんです。

――そんなに困難なことなんですね。

お坊さん そうですね。どの宗派でも儀式を受けるのに数十万円、お坊さんの衣を一式そろえようとしたら、それも数十万円と、お金もすごくかかる。お金に余裕のある人ばかりではないですから、師匠がそれも面倒を見るとなると、限られてくるわけです。

 全国の3分の2のお寺は、食べていけないというお話にビックリしました。少子高齢化、過疎化、冠婚葬祭の変化などで檀家が少なくなっているケースが多く、特に地方では顕著なのだそうです。運よくお寺を任されても、さらなる経済的な困難が待ち受けている可能性があるわけですね。「お坊さんになれば、経済的に安泰」という認識は、改めようと思います。
(恐ミオ)



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