数年前から聞くようになった「遷宮(せんぐう)」という言葉。皆様、ご存じでしょうか?

 今年は三重県の「伊勢神宮」と島根県の「出雲大社」で遷宮が行われるということで、現在、テレビや雑誌・インターネットなどの特集でも多く取り上げられています。でも、結局「遷宮」が何か? と聞かれたら困るという人も多いのでは? 

 そもそも、この「遷宮」というのは、国語辞書で調べてみると「新しく神殿を造り、もとの神殿から神を移すこと。またその儀式」(『標準国語辞典 改定新版』(旺文社)から引用)とありますが、まさにその通りの意味。あの大きな神社を取り壊して建て替えるんです。

 でも、何でわざわざ神殿を新しく造ってまで、神様を別の場所に移さないといけないの? それって誰が決めたの? それで何が変わるの? など疑問はいろいろ出てくると思いますので、ひとつひとつお答えしましょう。

伊勢神宮編〉

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歴史を感じますなぁ

■神様を別の場所に移すのは世代交代の証

 まず、タイトルにもある「式年遷宮」。定期的に行う「遷宮」自体はほかの神社でも行われているのですが、「式年遷宮」は、一般的に「伊勢神宮での遷宮」を指すことが多いようです。

 「式年遷宮」では、今年、内宮の天照大御神(アマテラスオオミカミ)と外宮の豊受大神(トヨウケヒメ)を祀る「両正宮」をはじめとして、この2人の神様の両荒魂を祀る「荒祭宮」「多賀宮」。2104年には残り12の「別宮」が遷御されるという大規模なものです。また、正殿の内外を飾る装飾品や遷御の儀の際に着用される衣服などの御装束や武具・楽器などの神宝も、選ばれた職人や工芸家たちが新調し、そうすることで日本の伝統や技術を保存して、次世代へ継承していくという意味が込められています。

■始まりは1300年も前。考案者はあのBIGな夫婦

 今年の平成25年の式年遷宮で62回目となり、考案者は天武天皇でその記念すべき1回目が行われたのは690年。天武天皇の皇后でもあった持統天皇が行ったのが最初とされています。途中、中世の内乱の頃や終戦直後など延期されたこともありますが、現在まで1300年あまりも続いている儀式です。

 歴史ある伊勢神宮が、伝統の中にも常に新しさを感じて、観光客が絶えない理由がここにあるのかもしれません。また、日本人が改めて「氏子(うじがみ)信仰」の再認識をする機会にもなっているといえます。この大切な神事のために、8年もの歳月をかけたくさんの祭事を重ね準備をしていきます。ご祭神が本殿から新殿に遷る「遷御(せんぎょ)」の日時は、天皇陛下がお決めになることからも、日本の国にとって大切な儀式であることがわかっていただけるのではないでしょうか。

■それで何が変わるの?

 伊勢神宮の遷宮では、内宮・外宮ともに、正宮と別宮の社が建て替えられ、そのお宮の東と西に同じ広さの敷地が並びます。そして、20年に一度、もう一つの場所に新しいお宮が建てられて、それぞれの神様が新しい場所へお引っ越しされるのです。ちなみに東へお引っ越しするのが「米座」、西にお引っ越しするのが「金座」と呼ばれています。この2013年の遷宮は「金座」で、波乱、激動、物質欲が強い「経済の時代」とも言われています。前回の金座の時はバブル景気の時代ともされ、経済界でも注目されているのです。

〈出雲大社編〉

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でーん! デカすぎ

■伊勢神宮はお引っ越しなら、出雲大社はリフォーム

 では、伊勢神宮の「式年遷宮」についてお話してきましたが、同じ今年に行われる出雲大社の「遷宮」はどうなんだ? となりますが、出雲大社では今回行われる遷宮を「平成の大遷宮」と呼んでいます。なぜなら、出雲大社の遷宮は、伊勢神宮のように定期的に行われる儀式ではなく、今回はなんと60年ぶり! たまたま伊勢神宮の遷宮と時期がかぶっただけで、今回は奇跡のシンクロともいえるのです。

 出雲大社の祭神「大国主大神(おおくにぬしのかみ)」が祭られる現在の本殿は「延享の御造営(えんきょうのごぞうえい)」といわれる1744年に造られたもの。その後3度の「御遷宮御造営。が行われ、最後に行われたのが昭和28年の戦後のことです。今回の平成の大遷宮では、風雨にさらされて痛んできた部分を「新築・改修・修造」するというのが大きな狙い。そのために5年間かけて大規模な工事を行い、完成した神殿に御神体を御神輿に乗せて遷宮するのです。

■神様もリフレッシュが必要 遷宮でパワーの甦り

 神殿を甦らせることは、御神威も甦るといわれ、縁結びを司る大国主大神が新殿に遷宮される今年は特に、ご縁を結ぶ力が増すといわれている。特に、縁結びに必死な婚活女子などが、その儀式が行われる今年の5月10日に注目。なんとかこの縁結びパワーにすがろうというわけです。

 伊勢神宮の遷宮の今回の総予算は550億円。このように大規模に建てかえるというものではないので、出雲大社の遷宮をちょっとスケールが小さいと感じる人もいるかもしれません。しかし、その総事業費は約80億円とも言われているので、こちらも大がかりなものである事には変わりません。大規模な工事を経た新しい神殿たちは見ものです。

 ここ数年のパワースポットブームで出雲大社を訪れた人も多かったと思いますが、改修工事中だった場所も多かったでしょう。だからこそ、今年訪れたい場所として注目を浴びています。

 伊勢神宮の「式年遷宮」と、出雲大社の「遷宮が同じ年に行われるなんて……こんなチャンスが次はいつ訪れるのかわかりません。今、ふたつの遷宮が注目されているのも納得できますね。
(文=西脇聖/AN FACTORY)



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