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ここに水ようかんが……

 日本人ならやはりお正月といえばおせち料理ですよね。それとお雑煮!

 日本のおせち料理とお雑煮は、日本の各地域によって具材や味付けが違うことは、よく知られています。たとえば東日本のお雑煮は澄まし汁に焼いた角餅、関西は白みそ仕立てに焼かない丸餅、なんていうのは超有名ですよね。

 しかし、日本にはまだまだ知られざるお雑煮がけっこうあります。たとえば長崎県島原市に伝わる「具雑煮」をご存じですか? 具雑煮はしいたけや鶏肉、アナゴ、白菜、かまぼこといった約10種類の具材がふんだんに入ったお雑煮で、土鍋で煮込むのが特徴です。イメージとしては、鍋焼きうどんに近いでしょうか? 

 具雑煮が島原で誕生したのは1673年。最初に作ったのはなんと、あの天草四郎! 「島原の乱」で信徒たちと籠城した際に農民たちに餅を兵糧として蓄えさせ、山や海からいろいろな材料を集めて雑煮を炊いたのが、具雑煮の由来だそうです。四郎たちは具雑煮で栄養をとりながら、約3カ月も戦ったそうです。

 またその地域にのみ伝わっている、珍しい具材お雑煮も、日本各地にあるようです。たとえば、千葉の房総に伝わる「ハバノリ」。青海苔のような風味が特徴で、雑煮にちぎってふりかけるとか。「ハバノリをふりかけた雑煮を食べないと、正月を迎えた気がしない」とは、地元出身の人の言葉。また愛知県では「もち菜」と呼ばれる葉物を入れる風習があります。もち菜は、尾張地方だけで採れる小松菜の一種。「名(菜)を上げる」といわれ、縁起のいい食べ物として親しまれているそうです。ダジャレかよ、と思う人もいるかもしれませんが、まあいいじゃないですか。後に紹介しますが、お正月の食べ物はかなりダジャレ率が高めです。

 お雑煮の話をもうひとつ。よくテレビなどで変わり種のお雑煮として取り上げられる鳥取県の存在も忘れてはいけません。鳥取のお雑煮といえば「あずき雑煮」。つまり「ぜんざい」ですね。そんな鳥取県ですが、実は最近「カレー雑煮」というものがひそかなブームとのこと。甘い雑煮を食べた後は、やはり辛いものが食べたくなったということでしょうか? ちなみに鳥取県は、カレールー消費量が全国トップらしいです。もう鳥取県民にとって、カレーはインドではなく日本食ないし県民食という認識なのかもしれません。

 ちなみに国土交通省の「国土地理院」では、なんと「日本お雑煮分布図」というものを作成しております。それによると日本における焼餅と煮餅の境界線は2つあり、1つは静岡県東部から富山県にかけて、もう1つは奈良県から京都府にかけてだそうです。境界線が2つあるのは、そこに挟まれた愛知や岐阜などは角餅を使うことが多いためです。

 一方、お雑煮と並ぶお正月の食事といえば「おせち」も忘れてはいけません。日本のおせちといえば「まめに働く」という願いを込めた「黒豆」や、「喜ぶ」をかけた「昆布巻き」など、由来にはダジャレが満載なことで知られております。まあいくらダジャレでも、由来を説明されれば「なるほど」と思いますよね。しかし日本各地にはやはりお雑煮同様、ダジャレとは関係ない、その地域にしか見られない変わったおせちの具材が存在するようです。

 たとえば「水ようかん」。全国的には夏のお中元の定番ですが、冬のお正月に入れる地域があるのです。それは福井県と栃木県日光市。福井と栃木って、そこまで位置的に近くないはずですが……。

 また「ワニの刺身」なんていう、一見ワイルドな食べ物をおせちに入れているのは島根県。実は「ワニ」という言葉は方言で、実際は「鮫」のことだそうです。中国地方の山間部ではよく、ワニこと鮫が食べられるそうですよ。そのほか石川県のおせちには「べろべろ」なんていう妖怪みたいな食べ物も。これは寒天でとき卵を寄せたもので、食感からこの名前がついたとか。どれも、ほかの地域には馴染みがないものばかりですよね。

 しかしいくら時代が流れても、お正月の食文化がこれだけ地域によって違うというのは面白いです。日本は情報化社会ですが、まだまだ知られざる食文化が日本にはたくさんあることを、お正月には再認識させられます。その一方、食文化が違う地域に引っ越したり、その地域の人と結婚をしたりするのはけっこう大変そうですが、どんなに自分の故郷の食文化とギャップがあっても、しっかり尊重したいものです。
(高山惠)



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