――神聖な"気"が集まる「パワースポット」。けれどそこは、どうにかして幸せになりたい! と願う女たちのよどんだ気で埋め尽くされた場所でもある。礼節を忘れ、私利私欲に走るパワスポバカの実態に迫る!

 京都のガイドブックなどで必ず見かける無数の鳥居がそびえ立つ神社、「伏見稲荷大社」。「お稲荷さん」と呼ばれている、全国の稲荷神社の総本宮です。その数は全国に3万社もあると言われています。

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こちら、伏見稲荷大社です

 ご祭神は、宇迦之御魂大神を主祭神とした5柱。この5柱を総称して、「正一位稲荷大神」とも称えられています。八百万の神の中でも最も代表的な食物の神である宇迦之御魂大神が祀られていることから、古くから五穀豊穣、そして商売繁盛の神社として全国的に知られることになりました。

 立派な朱の鳥居をくぐると、その先には外拝殿が。その裏に本殿があります。左奥の鳥居をくぐり、さらに先へ進むと奥宮、そしてかの有名な千本鳥居へと続きます。この鳥居は稲荷山の山頂まで続いていて、最高峰である一ノ峯の手前には2つの奉拝所があり、途中に池や小川も流れていたりと、ちょっとした癒やしのスポットです。

 けれど、参拝者の多くは伏見稲荷大社に癒やしなど求めてはいないのです。求めているのは、金! 金!! 金!!!

 まず参拝へ伺って驚くのが、圧倒的なスーツ姿のサラリーマンの数。一般の参拝客との比率はと7:3くらい。少し背中を丸め気味で、いかにも不況の波にあおられた、哀しい背中が続々と鳥居の中に吸い込まれていきます。

 世間のスピリチュアルブームなんてどこ吹く風と、ダークカラーの背広に身を包んだオッサンたちが、手のひらをこすり合わせんばかりに、本殿前で参拝をしております。

 商売繁盛の神の総本宮ですもの、その祈りの強さはハンパない! 参拝後、横にいたサラリーマン風の男性をのぞき見すると、小刻みに肩を震わせるほどの強い念の入れよう……。いったい何があったんだ……。スピ女も思わずたじろいでしまうほどの、強い執念を感じさせます。

 参拝をすませたあとは、いざ稲荷山へ。

 しかしこの千本鳥居、写真で見ているととても美しいのですが、実際にくぐってみると、どうも息苦しい……。背の低い朱の鳥居の数々に四方八方から圧迫されているようで、山道ということも相まって、次第に息が切れてきます。

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願いは念になりますからね……

 鳥居をよく見てみると、奉納した社名がずらずらと書かれているではないですか! なるほど、この息苦しさは、もしかしたら人の欲の現れなのかもしれません。
 
 千本鳥居を通り抜けると、命婦谷の奥社奉拝所があります。ここの右奥にあるのがスピ女の間でも有名な「おもかる石」。

 一対の石灯籠のどちらか好きなほうを選んで願いごとをし、石灯籠の頭の部分を持ち上げます。そのとき、予想より軽かった場合は願いごとがかない、重かった場合はかなわない、と言われています。

 筆者が訪れた日は、休日の昼間だけあって、数人の列ができてました。普通、このテのゲーム性のあるパワスポでは、スピ女たちのキャイキャイはしゃぐ声が聞こえてくるものですが、ここは違います。とにかく、マジ。静かに順番を待ち、静かに石を抱え、静かに立ち去る。

 筆者の前に並んでいた、アラフォー独身で事業立ち上げちゃったわよ風の細面女性は、石灯籠の前にじっと手を合わせること……数分。意を決して石を持ち上げようとしたところ、想像以上に重たかったのか、勢いあまって一人膝カックン状態になってしまいました。

 また、パワーリフティングのごとく、高々と石を頭上に持ち上げているおじさんもいらっしゃいました。そこまで持ち上げなくても! と、誰もが心の中でツッコミを入れたことでしょう。

 ちなみに、筆者が持ち上げた時の感想は、軽くは持ち上がらないけれど、重たくもないかな、という感じ。

 そして、再びぜえぜえ言いながら階段をのぼっていると、こつこつとオヤジ靴を鳴らして上へと目指すスーツ姿のサラリーマンたちが、黙って私を追い抜いてゆきます。途中、疲れて休んでいるおばあさんのことなど目もくれず、ひたすら頂上へと歩いていきます。

 一ノ峯を目指したのですが、途中の四ツ峯でダウン。休憩所の御茶処で、あったかいお茶を飲んでほっこり。目下に広がる京都の街を眺めながらお茶を飲んでいると、日々、目先の金商売に翻弄されている自分がちっぽけに感じられます。

 人生、金や商売だけじゃないんだよ。お稲荷さんの神さまから、そんな声が聞こえてきそうです。
(ニコ)



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