――皆さんは、パワースポットが神聖、安全な場所だと決めつけていませんか? もちろん、聖域には違いありませんが、光あるところに影があるように、ほとんどのパワースポットには地獄への落とし穴が隣り合わせています。そんなパワースポットを訪れた時、無事、お参りをして帰ってくるにはどうすればいいのか……。危機管理のプロフェッショナルで、年間いくつものパワースポットに足を運ぶテレンス・リー氏に教えてもらいましょう。

■今回紹介するパワースポット
富士山

 塀や堀に囲まれ、鳥居や山門のある神社仏閣と違い、境界線の曖昧な領域が神聖な場所である時、そうとは知らず、禁忌に触れてしまうことがあります。

 自然崇拝の対象となるパワースポットが、それに当たります。なかでも富士山は、日本が万国に誇れる山岳信仰の象徴、強力なパワースポットです。

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神々しい姿に思わず畏敬の念をおぼえてしまうのは、日本人だから?
Photo By from densetsunopanda Flickr

 富士山信仰というと、富士山そのものをご神体と考えるのか、富士山の神霊である浅間大神を主体と考えるのか、あいまいに思えてしまいますが、本来はどちらも等しく正しいです。ただ、純然たる山岳信仰と捉えるならば、富士山そのものをご神体と考えて差し支えないでしょう。

 この場合に問題となるのが、富士山の境界線です。富士山の一合目を境界線と考えるのが一般的ですが、そうなると富士山の裾野にある市町村は、すべからくご神体の上に位置することになってしまいます。一方、江戸時代、富士山信仰の対象地域は「富士山が拝める処」とあり、この考え方に従うならば、ご神体は富士山の御影であると解釈されます。このように、富士山信仰には諸説あるため、ご神体の規模が明らかではありません。

 では、富士山を参拝するには、どのような順序で参ればいいのでしょうか?

 異論はあるでしょうが、あえて私論を述べるなら、富士山麓にある「富士山本宮浅間大社」(静岡県富士宮市)の鳥居から仰ぐ富士山こそ、富士山御影参拝の王道だと考えています。

 富士山頂には「浅間大社奥宮」があり、古来より山頂に近いほど御利益が得られると信じられてきました。そのため、現在も登山による祈願が盛んですが、一方で、ご神体に登る行為を不敬とする考えもあります。そのため、富士山をお祀りする本宮浅間大社から遥拝するのが、礼を重んじる最善の方法だと、私は強く推奨するのです。

富士山麓にある富士山本宮浅間大社。恐ろしい噴火を繰り返す富士山の
山霊を鎮めるために浅間大神をお祀りしたのが起源なのだとか。
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 そしてもうひとつ重要なのは、富士山が「龍脈」の基点とされていることです。龍脈とは、大地を流れる「気の通り道」のことです。地下水は風水学でいうところの龍脈ですが、富士山の伏流水は周辺市町村から湧出しており、西湖や駿河湾からも湧出が確認されています。つまり、周辺は富士山の強力なエネルギーが凝縮されたかたちで吹き出している場所なのです。

 また、富士山と周辺地域の土地は火山岩が主成分であり、特に樹海がそうであるように、物理的にも強力な磁場を形成しています。磁力は、それだけで人間の気に多大な影響を及ぼしますから、コンディション如何ではとてつもない副作用におそわれることが起こり得ます。

 ですから、富士山は短絡的にパワースポットともてはやすには、危険な場所なのです。周辺地域の住民に副作用がないのは、いわば抵抗力が備わっているからであって、たまに訪れる人はその限りではありません。

 そうした副作用を受けないためには、ある程度の時間をかけて富士山の気に慣れることがいいでしょう。例えば、静岡県三島市や山梨県富士吉田市には、富士山伏流水の湧く公園がいくつかあります。指定の場所で飲むこともできますから、小さなペットボトルに収め、持ち帰り、毎日少しずつ飲めば、徐々にでも確実に抵抗力がつきます。また、同地域に宿泊すれば、大地から発せられる磁力にも抵抗力がつきます。富士山の強力なエネルギーに慣れるためには、麓に逗留して、湧き出す水を飲み、大地で育ったものを食するのが一番なのです。

 富士山は超巨大なエネルギーの塊です。それを享受するためには、やはり十分な体力と気力を養っていなければなりません。弱っている時の神頼みは、むしろ逆効果となります。

 知らなかったことは仕方ないともいえますが、無知は恥ずべきことであり罪であります。無知の衣をまとって聖域に踏み込むことは、自分の生命を危険に晒しに行くようなものですよ……。

■テレンス・リー

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神奈川県横浜市出身。立教大学文学部史学科中退。大学在学中より傭兵として紛争地を転戦。引退後、危機管理コーディネーターの傍ら文筆生活に入る。学問的専門分野は中世日本軍制史および幕藩外交史。著書には『おれは戦争下請け屋』(東邦出版)、『戦争病』(実業之日本社)、相武左馬のペンネームで上梓した『真説パワースポット~あなただけのパワースポットに出会う本』(東京書籍)など多数。

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