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※画像はイメージです

 ブラジルのアマゾンで、1989年から1992年の間に、8~13歳までの少年が次々と行方不明になるという事件が発生した。いなくなった少年の何人かは遺体となって発見されたのだが、拷問・性的虐待された上に、身体を切り刻まれ、バラバラにされていた。さらに、遺体からは臓器や生殖器が切り取られており、地域の住民を恐怖に陥れた。

 地元警察は犯人の目星がつかず頭を抱えていたが、92年、命からがら逃げてきた少年の証言が突破口になった。身の毛もよだつような拷問殺人を少年たちに行ったのは、「上等宇宙連合」というカルト集団の女リーダーであるヴァレンティーナ・デ・アンドラーデと、信者たち6人。アルゼンチンへ逃亡したヴァレンティーナを除く5人はすぐに逮捕され、裁判にかけられた。法廷では、ヴァレンティーナに見捨てられた信者たちが、カルトの異常性を次々と証言。子どもを敵だとし、生贄として悪魔に捧げるという恐ろしい上等宇宙連合の実態が明かされたのだった。

 上等宇宙連合というカルトは、どうやって誕生したのか? どうして300人もの信者を集められたのか? そして、なぜ子どもたちを次々と殺害するようになったのだろうか?

 上等宇宙連合の創設者で女教祖であるヴァレンティーナ・デ・アンドラーデが、人々に説教をし始めたのは81年、48歳の時だった。宇宙人からのメッセージを当時結婚していたアルゼンチン人の夫、ロバート・オリベラを通して受け取るようになったと言い、そのメッセージを語りだしたのだ。彼女は昔から占い師まがいのことをしており、地域の住民から「透視力がある」「占い能力がある」と注目されていた。そのため、「宇宙人から自分だけに発せられたメッセージを受けるようになった」と言いだした時、多くの人々がその言葉を真に受けたのである。

 宇宙からのメッセージを“伝道”するようになった彼女は、間もなくして、宇宙人から得た情報を世界中に広めるという使命を遂行する活動を始めた。彼女は宇宙人のメッセージを『God, the Big Farce(神、最大の茶番劇)』という本にまとめているのだが、そこには「神は存在しない」「イエス・キリストは宇宙人である」「宇宙の実体は“光と愛、そして真実”。それは私である」と明記されている。メッセージは奇想天外なものばかりだが、ヴァレンティーナにはその手の能力があり、宇宙に精通していると信じられていたため、「すごい人がいる」「彼女こそがメシアだ」という口コミが、あっという間に広がったのだった。

 「宇宙人からのメッセージ」を信じる者が増えたことを受けて、84年、ヴァレンティーナはアルゼンチンの官庁都市ラプラタを拠点に、新興宗教団体、上等宇宙連合(スーペリアー・ユニバーサル・アライメント)を創設した。そして、「1986年に地球が滅亡する。しかし、上等宇宙連合信者だけが宇宙船により助けられる」というメッセージを柱に、ブラジルとアルゼンチンで伝道活動を活発に行うようになった。

 ヴァレンティーナはこの頃、上等宇宙連合のもう1つの柱となる、「子どもたちは悪魔の生まれ変わりだ」というメッセージを宇宙の神から受け取ったと言うようになった。そして、「我が子を捨てること」を入信の条件に挙げ、「1981年以降に誕生した子どもは100%悪魔だ。抹殺しなければならない」と主張。「上等宇宙連合を信奉する者だけが宇宙船に乗り、差し迫る地球滅亡から脱出することができるのだ」と説くようになった。地球滅亡の年が近づくと、信者たちはアメリカの秘密結社「白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)」のようなガウンを着用させられ、黒魔術儀式を行うよう指示された。時間がたつにつれうさんくささを増し、カルトのほか何ものでもないという内容になっていったのだが、信者は急増。ブラジルとアルゼンチンで300人もの信者を集めたと伝えられている。

 地球滅亡の年である1986年が来ても何も起こらなかったことがきっかけで、上等宇宙連合は狂気の道を突き進むことになる。多くの黙示系カルトは、滅亡の日が過ぎると信者が離れていくことになるのだが、上等宇宙連合の信者は違った。「この世を最大限に楽しみながら生きることをしなかったからだ」「宇宙の神に、自分たちは助ける価値などないと証明してしまった。宇宙人から見捨てられたのだ!」と焦り、嘆くようになったのだ。多くの信者たちは彼女の巧みな言葉にマインドコントロールされていたため、忠実に次の指示を待った。そして89年、アマゾンのアルタミラに住む子どもたちが1人、また1人と行方不明になるという事件が発生したのだ。



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