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※画像はイメージです

 2000年8月、カリフォルニア・セントラル・ヴァレーのマカロミー川で水上スキーを楽しんでいた男性が黒いバッグが浮かんでいるのを発見。調べたところ人間の胴体部分が入っていたため警察に通報した。数時間後、「人間の頭部の入ったバッグが浮かんでいた」と別の通報があり、捜査した結果、切断された遺体の入った9つのバッグが発見された。

 検視官が1週間以上かけてバラバラ遺体をつなぎ合わせた結果、年老いた男女と若い女性、3人の遺体であることが判明。8月7日に、警察から殺人罪で追われていたテイラー・ヘルザー、弟のジャスティン・ヘルザー、そしてジャスティンの彼女ドーン・ゴッドマンが逮捕され、川に死体遺棄した3人のほかにもう2人を殺害していたことを自白した。

 警察は、3人から殺人の動機を聞き仰天した。「モルモン教のリーダーを暗殺し、テイラーが新しいリーダーになるために必要な生贄たちだったから」と供述したからだ。3人の関係は、教祖と信者。テイラーが、モルモン教のニューリーダーになるべき神の預言者であり、ジャスティンとドーンは彼の一番弟子「チルドレン・オブ・サンダー」だと言うのだ。

 もともとはモルモン教の熱心な信者だったテイラーがなぜ、カルトの教祖になったのか。弟はなぜ信者になり、彼女もなぜ疑うことなくテイラーを預言者だと崇めるようになったのか。そして、なぜ5人もの尊い命を奪うことになったのだろうか。

 年子であるヘルザー兄弟は、サンフランシスコから車で50分離れたマルチネスという町で、敬虔なモルモン教徒である両親のもと育った。子ども時代の彼らを知る友人や家族、そして社会に出てからの彼らを知る元同僚らは、兄弟のことを「ごく普通の人だった」と証言している。

 兄のテイラーはハンサムで雄弁家、品のある青年として知られ、サンフランシスコ・ベイエリアで株式ブローカーとして働いていた。説得力のある話し方をする、カリスマ性のある魅力的なジェントルマンとして知られていたという。一方、弟のジャスティンは甘いマスクだがシャイで、学生時代も、ケーブル設置工員として働いていた頃も目立たない存在だった。兄弟は対照的な性格だったが、ジャスティンは幼い頃からテイラーに「オレが1番、オマエは2番だ」と言われ続け、兄には太刀打ちできないと刷り込まれていたため、自信と競争心を失ってしまったのかもしれない。

 モルモン教会に認められた男性信者は、19~25歳までの間に宣教師として伝道活動を行うよう教えられている。ヘルザー兄弟も90年代初めに宣教師に志願し、テイラーはブラジル、ジャスティンはテキサスで伝道活動を行った。このブラジルで、テイラーはモルモン教に対する見方が大きく変わったとのこと。帰国後に知り合った女性と結婚し2人の子どもをもうけたものの、モルモン教に縛られた窮屈な生活から抜け出したいという気持ちが強くなり、喫煙、飲酒、浮気をするようになり3年後に離婚。ドラッグでハイになることが多くなり、ジャスティンにも強要するようになった。躁うつ病持ちだったというテイラーは、ドラッグのやり過ぎもあり、1998年に精神状態を悪化させ入院。同年、兄弟は薬物を乱用しているという理由でモルモン教から破門を言い渡されている。このことに2人は激しく動揺し、なかなか受け止めることができなかったとされている。

 この頃から、テイラーはドラッグでハイになりながら、「この社会は、原始的な信仰に支配されている。正しいのか間違っているのか、善か悪か、どっちかだとね」などと説教じみたことを言いだすようになったと、地元新聞の取材に兄弟のいとこは証言。病院から退院してからは、「自分には神の声が聞こえる」と明言するようになっていたという。

 1999年、兄弟は忍び込んだモルモン教会主催の交流イベントで、ドーン・ゴッドマンという名の若きシングルマザーと知り合う。彼女は18歳で結婚し妊娠したが死産。すぐ2人目にめぐまれ無事出産したものの離婚してしまい、96年に覚せい剤を打つように。自殺未遂もし、精神病棟で3日間強制入院されるという壮絶な過去をもっていた。人生の道しるべを求め、モルモン教の門をたたいたドーンだったが、そこで兄弟に目を付けられてしまったのである。ドーンはすぐに2歳年上のジャスティンと付き合うようになったが、心を惹かれていたのはテイラーだったとされている。






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