――信仰の有無に関わらず、さまざまな場面にスピリチュアル思想が盛り込まれている日本の冠婚葬祭。なんとな~くやり過ごしているものの、中には「アレ? これってありなの?」と思うようなちぐはぐなものも……。そこで、長年の海外暮らしで培ったガイジン的視点から、半分ガイジン!? な映像ディレクター・市村幸卯子が、日本のちょっとおかしなしきたりについて、ツッコんでいきたいと思います!

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(c) yuko ichimura

 執り行ってきましたよ、神前式。やー、こんなに「不思議」な体験になるとは! せっかくなので、今回は時系列を追って、“バーチャル挙式ツアー”にみなさんをご案内しましょう!

■09:15 横浜ロイヤルパークホテル集合、美容室で支度

 まずは顔から首、そして手に「水化粧」というおしろいを塗ります。そして、次にかつらを装着し、着物を羽織る、という流れ。

 ここで、“着物ワンポイント”! 貫禄たっぷりに見えないようにするためには、「補正」は少なくお願いするのがオススメです。これ、中肉+moreのみんなはぜひ、REMEMBERよ!

 着付けの仕上げ、「帯結び」には、専門の“着付け先生”が参戦。先生&ヘアメイクさんの計3人によって、金田一耕助の「獄門島」に出てくる鬼頭花子なみに帯を思いっきり締め上げられたら完了です。「こ、これがあたし……(はーと)?」と酔いしれたいところですが、ここでもやはり、コスプレ感は否めず、いまいち実感はわきません。するとどうでしょう。文金高島田の角隠しに黒引きの完璧花嫁コーディネートの私に対して、廊下ですれ違う知らない人々が次々と「きゃーー! おめでとうございます〜〜☆♪!」と声をかけてくるではありませんか! そのたびに、金粉のような“キラキラ慶びENERGY”が降り注がれるのを感じられます。
 
 なに、この経験したことのない独特な感覚.……これがお嫁サンバ……!?

■10:45 ロビーで両家両親&妹弟と軽く記念撮影のち、タクシーで神社へ出発
■11:30 伊勢山皇大神宮で親族と集合

 神宮に着くと、まずは控えの間で、お花と金の冠をつけた舞仕様の巫女さんに“榊の持ち方”の講習を受けます。相手方(神様)をたてるための、異様に回りくどい持ち方に、「神様には特別最大級の礼を尽くす。だって、同じ生き物じゃないんだから!」という、人間からの圧倒的畏敬の念がビシバシ感じられます。こういう部分に、「神様=父(ヒューマンタイプ)」という、キリスト教の考え方との違いが見られますよね。

 そして、ここでかの金屏風の前に座ります。これがまた自分ごととは信じられず、なぜだか笑っちゃう。両家親族が向かい合ってお茶を飲んでる姿とか、壮観だわ〜。あ、ちなみに私の10代の頃の夢の職業は巫女だったんですよね。

■12:00 いよいよ挙式開始 

 会館から行列をつくり、ゆっくりと本殿まで行進します。石段をのぼる時には、太鼓の音が「どん、どん」と響きます。途端に、この横浜の丘から神様世界への扉が開いたような……。キャー! O・GO・SO・KA〜〜(はーと) あがる〜! これぞJAPAN〜〜〜!!! 個人的に儀式中で一番好きな瞬間でした。

 こうして、式は厳かに執り行われました。

 ……と、言いたいところですが、想像以上にファンキーで自由なムードだったんです。夫は神主さんに隠れてピースサインを出しまくり、夫の祖母テルちゃん(92歳)は半分寝てたし、私は三三九度のお酒を3杯グイグイ飲みほして酔っぱらい(あれは口をつける程度でいいらしいですね……)、友人たちが集まり始めているところが見えて気が散ったり……て、あんたら遅いがな! かっこいい太鼓シーンが終わってしもたで!(愛)

 とまぁ、私はニヤニヤしっぱなしでした。だって、なんだかとっても……うれしかったのです。

 Hey You! 何を当たり前なことをって? や〜そうなんだけどねっ。お忙しい中親族や友達が集まってくれて、空は晴れたし、風が通って心地がよいし、憧れの太鼓は聞けたし、日本髪のかつらはかぶれたし、「わ〜ありがたいな〜」って素直に感じちゃったわけですよ。ほんと、神様サンキュベリマッチョーーー!

■12:30 挙式終了。ホテルに戻りロビーの大階段で親族集合写真撮影

 といったわけで、挙式を終え、人間界に戻って参りました。結婚式には、カップルそれぞれに謎のこだわりがあるもの。式場でほかのカップルの打ち合わせに聞き耳を立てたところ、「金魚が〜」とか「相撲が〜」とか、いろいろ小耳に挟みました。

 そんな私たちのこだわりは、「GOD FATHER」です。

「とかく結婚式の集合写真は、直立不動でキツいライティング、まるで内閣府拝命式のように。しかし、なおかつ温かみのある家族ポートレートにしたい。そうだ、GOD FATHERにしよう!」

 華やか&リラックスな家族パーリーといえばイタリア人、イタリア人といえばGOD FATHER。しかも『Part I』は、なんてったってコルレオーネ一家の娘の結婚式シーンから始まります。

 そんなこんなで、ロイヤルパークホテルの写真室さんが私たちの要望に本当に快く協力してくださり、『Part III』冒頭の大階段での集合写真を参考にした、かなりリラックスした家族ポートレートとなりました。そうそう、アクセントにアヒルの剥製を写り込ませようとしましたが、アヒルちゃんのDEATH MASKが物悲しかったのでやめました。その代わりに、林檎の模型を林檎農家である夫の従兄弟にかじってもらったっていうね……。

 次号、「二次会というかただの大宴会」へ……!

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■市村幸卯子(いちむら・ゆうこ)
1975年、神奈川県生まれ。映像ディレクター、国際マンガ家。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・ファインアート科卒業。11年間のイギリス滞在を経て帰国。ロンドン時代よりTVCM、ミュージックヴィデオ、アニメーション作品など数多く手がける。著書に、福島第一原子力発電所事故後の東京の日常を描いた『3/11-TOKYO INTERRUPTED-東京一時停止-』(Carlsen Verlag社)がある。
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