プリンスがエホバの証人に改宗したのは、エホバの証人だった母親の遺言に従ったという説が有力。しかし、プリンスをエホバの証人に導いたのは母親ではなく、ファンクロックバンド、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの元メンバーで、名ミュージシャンとして知られるラリー・グラハムだとも言われている。ラリーは敬虔なエホバの証人の信者であり、プリンスのツアーに参加した頃から聖書の勉強を一緒にするようになったとのこと。現在も、勉強会を行っているそうで、プリンスは、「地雷はどこにあるのか知り、どうすれば避けることができるのか」を話し合っていると明かしている。ラリーから教えを受けていたプリンスは、母から「エホバの証人を信仰して欲しい」と言われた時、すんなりと改宗できたのだと伝えられている。

 改宗する3年前に受けた英紙「The Times Magazine」のインタビューで、プリンスは、「迷路のようなこの世で生き抜くには、信仰が必要なんだ」と断言。「天使と悪魔が戦う、常にそんなイメージを持っていたんだ。そう、最後まで戦い抜くっていうね」「地球上にはHIV感染者・エイズ患者が3,000万人以上いるんだ。そのうちの2,100万人はアフリカにいる」「ハエにたかられている彼らを見たことがあるだろう? そのままにしていいのかい? 手助けするべきなんじゃないか」と熱く語っていた。

 さらにプリンスは、「神はここにいる。神はいたるところにいる。神は死んでなんていない」「神は再び来てくださる。その時は最も美しく、パワフルで、電撃的な瞬間になるだろう。空は紫と深紅に染まるに違いない」とも発言。「ラリーと、我々がどのように、そして、なぜ創られたのか、よく話し合うんだ」「神はご自分にかたどって人を創造された。私はそんな神にインスパイアされるんだ」と述べ、ラリーと7~8時間にわたり神について語ることがあるとも明かした。また、「気をつけろ。来年は1999年だ。神は君のドアをノックするかもしれない。神は決して、パーティーに来るわけじゃないんだ」と意味深に述べている。

 エホバの証人の信者たちは、2人1組になり戸別訪問による宣教を行うのだが、プリンスも真面目にこの活動を行っているとのこと。ラリーと組むことが多く、実際に彼らの訪問を受けたことがあると証言する人々もいる。宣教のトークは主にラリーが行い、プリンスは彼の言葉に耳をかたむけ深くうなずいていることが多いそうだ。プリンスはラリーについて、「兄であり、メンターであり、アドバイザー。彼から多くを与えてもらっている。人間について多くを教えてくれる、そんな存在でもあるんだ」と説明。「私の光を、よりいっそう輝かせてくれる、そんな存在」とも語っており、絶大的な信頼を寄せている。

 プリンスはエホバの証人に改宗してから、あまりにも強い影響を宗教から受けてしまい、音楽制作活動が低迷しているという意見もある。しかし本人は、「作詞作曲するときは聖書を読み、ひらめきを得ているわけではない」とも明かしており、音楽が変わったのは自分の中の音楽スタイルが進化したからだと主張。そして、進化と同時進行で、信仰心から、過去の名曲を切り捨てるという行為にも出ている。キム・ベイシンガー、シーラ・E、マドンナ、カルメン・エレクトラ、シェリリン・フェンら多くのセクシーな女たちと浮名を流していたプリンスは、男女の性愛を赤裸々に歌った名曲が多いのだが、現在は、「クリーム」「SEXY MF」を含む50曲ほど歌うことを拒否しているのだ。内容的によくないというのが理由だが、セックスシンボル的な彼が好きだったファンは落胆してしまっているそうだ。

 また、2010年にリリースしたニュー・アルバム『20Ten』を、「コンピューターやデジタル機器はよくない。人を頭でっかちにさせるだけ。いい影響を与えることなどできない」として、ネット配信しないことを決定。儲けではなく、自分の信念に基づき、音楽を広めていこうと思っている姿勢を見せた。

 プリンスと同世代の歌手や役者が第一線で活躍しているのと比べると、彼の活躍はまったく目立たず、落ちぶれたと誤解されても仕方ない。しかし、エホバの証人に心を寄せることで、心の平安を得ることができた彼の生き方は、ミュージシャンとしても、アーティストとしても、そして人間としても立派なことだと言えるのではないだろうか。






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