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アーティストは環境に左右されすぎだよ

――実力だけでは生き残れないハリウッドという世界に生きるセレブ。彼らを支えているパワーの源、幸運をもたらす見えざる手を分析します。

■今回のターゲット
プリンス (エホバの証人)

 
 1958年6月7日、ミネソタ州ミネアポリスに生まれたプリンスは、マイケル・ジャクソン、マドンナと並び、80年代を代表するアメリカン・ポップアーティストの1人として、世界中の多くのファンを魅了してきた。『1999』『レッツ・ゴー・クレイジー』『パープル・レイン』『KISS』など、数多くのヒット曲をこの世に送り出し、グラミー賞6回とアカデミー賞1回を受賞。作詞・作曲・複数の楽器の演奏からステージの演出まで、すべて自分でこなす完璧主義者であり、ほかのバングルスミュージシャンに提供した楽曲、バングルスの『マニック・マンデー』やシネイド・オコナー『ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー』なども大ヒットしている。

 157cmという身長だとは信じられないほどダイナミックな音楽を奏でる彼は、露出狂で艶めかしいダンスムーブメントをするセクシーなアーティストだった。また、マイクを舐めまわすという一般人には受け付けられないようなパフォーマンスも披露する、80年代きってのステージ・パフォーマーだ。大ブレイクした時代、プリンスが歌っていた曲の多くは、セックスや一夜限りの情事など卑猥で非モラル的な内容だった。子どもには聞かせたく歌詞ばかりで、エンターテイメント産業から猥褻な要素を払拭させる活動に積極的だったアル・ゴア夫人から、「問題のある内容のレコード」という警告シールが貼られた歌手第一号となったほどである。

 そんな彼だが、2001年を境に、“演出”と“表現”が180度変わった。「エホバの証人」に改宗したのだ。そして、これまで彼が生み出した歌とは正反対の“道徳的な人生”を歩むことが、いかに美徳であるかということを唱道するようになった。信者であることを誇りに思い、隠さずオープンにしているプリンスは、米宗教誌「ゴッサム・マガジン」のインタビューで、こう語っている。

「(ファックとか)人を呪う悪い言葉を使うと、これまで、その言葉が使われた時に引き起こされたすべての怒りが、使った人の身に降りかかってしまうんだ。そんな目に遭いたくないだろう?」「暴力を見るたびに、一体、彼らの親はどこにいるのだろうって不思議に思うんだ。と、同時に、彼らの生活の中に神はいるのかと考えてしまう。子どもは、プログラミングされる準備万端なコンピューターのようなもの。まだ子どもなのに、タバコを吸ったり、セックスをしたりすることは、本当によくないことだ」

 宗教観だけでなく、人生観も大きく変わってしまったプリンスだが、「もともと基盤になるものはあった」と感じるファンも少なくない。エホバの証人は旧約聖書の教えに基づき、血液を食すること拒むことから、肉を食べない人が多い(完全ではないものの、血抜きの肉なら食べる信者も中にはいるとのこと)。セブンスデー・アドベンチスト教会を信仰する家庭で育った彼は、長年、食事だけでなく、日常生活において動物製品を一切使用しないヴィーガニズムな生活を送っていた。そのため、この教えに対する理解はすぐにできたのではないかと見られている。

 05年、プリンスは両股関節を痛めており、人工股関節手術を必要としていると報じられた。07年と08年には“極秘手術”を受けたと伝えられたが、実際には受けていないと見られている。なぜなら、エホバの証人は「血は神聖なものであり、身体に取り込んではならない」と説いており、この教えに沿い、輸血を受けてもならないと教えられている。つまり、エホバの証人である彼にとって、手術を受けることは輸血する可能性もあることであり、タブーになるからだ。09年、米芸能専門紙「Hollywood Reporter」は、プリンスの股関節の痛みは相当酷いもので、鎮痛剤に頼り切った生活をしていると報道。どんなに痛みが酷くでも彼が手術を拒否し続けているのは、輸血を受けたくないから。それほど信仰心が深いのだ。






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