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『はだしのハワイ―大自然に学ぶナチュラル
ライフ』(エディシォンドゥパリ)

 ハワイには「キプカ」という言葉があるそうだ。それは、「溶岩流から奇跡的に残った、黒い大地の中の植物のオアシスのこと」(本書より)。

 30年ほど前までは、ハワイこそ日本人にとっての海外旅行だった。暖かい気候とゴルフ場を求めて、芸能人も押し寄せる。海外旅行が一般化するにつれてハワイの特別感は薄まり、現在では正月に訪れる芸能人も一部の固定ファンに限られている。その一方、ゴルフとは別の部分で、ハワイに熱い視線を向ける女性たちが現れた――俗にいうところの「スピリチュアル信者」たち。

 悪い運気を変えるために世界各地のパワースポットを訪れるが、それが「聖地である」という看板だけで満足し、まさに彼女が立つ場所を聖地に育て上げた歴史、文化の「なぜ?」には関心を示さない。残念ながら彼女たちは、自分の運気を変えているのではなく、自分の立つ地面を変えているだけなのかもしれない。もしもハワイに聖地があるとして、その場所で何かを変えたいのなら、まずは「なぜ?」から始めるべきではないか――本書は、いわゆる観光名所を離れたハワイ島東部に住む一人の日本人女性が、ハワイの等身大のライフスタイルを紹介した一冊である。

 斜め読みだと、自然療法やホオポノポノなど、スピリチュアルな癒やしに関心のある読者にはお決まりのキーワードが目につくけれど、決して宣伝めいてはいないところに好感を持った。

 今度は、頭からじっくり読んでみる。どうやら、この本の風通しのよさの秘密は著者の未央が住む場所、プナ地区にあるらしい。カメラマンの岩根愛の手になるカラー写真の最初の1枚は、青い海でも、鬱蒼と生い茂った熱帯雨林でもなく、黒い溶岩流の上に立つ著者と愛娘キサの写真で、目次を挟んで続く写真ページには、ややポエムチックな小文が載っている。

「太陽と水と緑溢れるこの大地に生きることは大地がもたらすものとともに生きるということ 時にそれが実りではなくすべてを奪うものであったとしても」

 ハワイのキラウエア火山は世界有数の活火山として知られるが、プナはハワイ島の中でも、特に噴火や溶岩の「影響」を受けている地域だという。ひとたび爆発が起きれば、溶岩流に家が呑み込まれ、針より細い溶岩のガラス質が降ってくる。

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今、この瞬間にもマグマが噴き出しているカラパナの溶岩流
(c)岩根愛

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ラバフロウ(溶岩流)の固まった溶岩台地
(c)岩根愛

 決して「都会のように住みやすい場所」ではないが、ネイティブ・ハワイアンが居住する歴史ある場所で、今では多種多様なリサイクル法や自然エネルギーを使い、環境に負荷をかけないサステナブル・リビング(持続可能な暮らし)を実践する人々が世界各地から集まっているという。本書には、20人以上及ぶたくさんのプナの住民が登場して各々のライフスタイルを語るが、誰一人として、この自然の抗いがたい力を「被害」とは呼ばない。

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アビーとニールが生活する、モミの木のツリーハウス
(c)岩根愛






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