――信仰の有無に関わらず、さまざまな場面にスピリチュアル思想が盛り込まれている日本の冠婚葬祭。なんとな〜くやり過ごしているものの、中には「アレ? これってありなの?」と思うようなちぐはぐなものも……。そこで、長年の海外暮らしで培ったガイジン的視点から、半分ガイジン!? な映像ディレクター・市村幸卯子が、日本のちょっとおかしなしきたりについてツッコんでいきたいと思います!


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(c)yuko ichimura

 さて。“感謝のウェイト・ベア”や“ハートの炎”など、華やかな演出を横目に、私どもの一次会は“完全NO演出”の「ただおいしいもん食べて、楽しく歓談しよ♪ 親族お食事会」にしました。ごめんよ!

 そんなクールふうの夫&私ではありますが、お友達に来ていただく結婚披露パーティー、いわゆる二次会には、趣向を凝らすことにしました。

 温泉施設「みなとみらい万葉倶楽部」にて、“入浴付きの大宴会スタイル”で行うことにしたのです。

 ゲストの皆さんには好きな時間にお越しいただき、お風呂や足湯を楽しんでいただき、最高の状態で一緒に乾杯しよう! という趣向です(年長の方には「数十年前には温泉旅館で結婚式なんてのがよくあった」という話もききました。ほ〜)。

 それと、ドレスコードは“リラックスウェア”でございます。真夏の暑い時期に、あの“結婚パーティーハゴロモ”を着させるのはどうにも忍びない……。 そう、ハゴロモとは、あの、多くの二ッポン女性が結婚式でのみ纏う、オーガンジーのショールのことです。

 いつも気になっていたのです。あの結婚パーティーハゴロモはどこからきたのか。ニッポンの、冷房が利きすぎたパーティー会場、「露出は控える」というマナー、新郎新婦の晴れの日のためにドレスアップをしてあげようというゲストの気遣い(参列の女性たちがドレスアップしてくれると、一気に場が華やぐものです)。Wow……実にニッポンの冠婚葬祭らしいマゴコロを、ハゴロモは宿しているのでは?

 ちなみに、明治から昭和の着物文化では、「超普段着の着物でも、上に黒紋付羽織をはおれば礼装にレベルアップ」という、ドンジャラでいう“オールマイティパイ”(すべてのパイの代用ができるジョーカー的存在)のようなラッキールールがあり、大変重宝されたようです。

 「晴れ着」「晴れの日」「晴れ舞台」——“お祝いごと”and“祭り”は特別な時空間「ハレ(晴れ)」タイムであり、それに対する普段の日常「ケ(褻)」デイズとは、服装、振る舞い、食べ物も異なる特別なものにして明確に区別する。これは民俗学者・柳田國男氏に提示された、ニッポンの伝統的な時空間のとらえ方とされています。なんかカッコいい……シビレル。ということは、「ハレとケ」を区切る時空のスピリチュアル・カーテンこそが、結婚パーティーハゴロモの真の姿ってことじゃないのか!?

 ……ところで、前回お話しした、新郎が「ケーキカットならぬ、寿司開きがしたい」と譲らない件。寿司開きとは、“新郎新婦が巨大寿司にナイフを入れると、中からたくさんの寿司がこぼれ出ること”らしいのです。どうやら新郎は、横浜のシウマイ有名店・崎陽軒本店のウェディング演出「ジャンボシウマイカット」にインスパイアされた模様で……並々ならぬ気合いで新郎自ら巨大寿司を彫刻するというので、ほっとく……いや、お任せすることにしました。

新郎「俺は小学生のとき棟方志功賞をもらったことあるから大丈夫だ」。

 そうかい。てゆーか、棟方志功さんて版画家だったような……まあ、いいか。

 さあ、いよいよ式当日が近づき、次回は準備編です!

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■市村幸卯子(いちむら・ゆうこ)
1975年、神奈川県生まれ。映像ディレクター、国際マンガ家。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・ファインアート科卒業。11年間のイギリス滞在を経て帰国。ロンドン時代よりTVCM、ミュージックヴィデオ、アニメーション作品など数多く手がける。著書に、福島第一原子力発電所事故後の東京の日常を描いた『3/11-TOKYO INTERRUPTED-東京一時停止-』(Carlsen Verlag社)がある。
公式HP

【「OH!ストレンジ☆冠婚葬祭」】バックナンバー
【第5回】こけしも真っ青な披露宴の注目No.1行事“感謝のウェイト・ベア”
【第4回】白ガメラでも「お似合いです」と言う、言霊至上主義なウェディングプランナー
【第3回】明治神宮は“神前式”にはなりません!? 神様・イズ・フリーダムなニッポンの挙式
【第2回】嫁とおめでた“ダジャレ”品をトレードする不可解な儀式「結納」
【第1回】ふくさに封筒、中袋……ガードは固いのに金額をしっかり書く“Japaneseご祝儀”のナゾ



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