いよいよ本格的な夏到来。夏といえば、日本では“お盆”のシーズンです。全国的にお盆時期は8月がメジャーですが、東京は7月。日付は13~16日で、こちらは8月も同様です。

 とはいえ、じつを言うと、東京生まれ東京育ちの筆者(母親が13年前に他界)でも、7月がお盆というのはイマイチピンときていません。7月13~16日なんて、小学生もまだ夏休みに入っていないし、東京の梅雨明けもまだ先。街全体になんとなくお盆という雰囲気が感じられないのです。東京に住んでいると、筆者のような感覚の人はたくさんいるのではないでしょうか? だからうっかりすると忘れてしまうわけですが、そういう時は都合よく「母親の故郷は北海道だから8月にやろう!」と、8月にお盆らしきことをやっています。

 しかし、母親が他界して13年。ふと「毎年毎年こんなアバウトでいいのだろうか?」と、心配になりました。心配になる時期が遅すぎないかいう気もしますが、今さら後悔しても仕方がありません。今年はすでに過ぎてしまいましたが、「正しい東京のお盆」とは一体どんなものなのか、東京・浅草にある「仏壇神具通り」へ足を運んでみることにしました。

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こちらが浅草の仏壇神具通り。通常の「お盆セット」なら近所の
スーパー等で手に入りますが、お盆に関する不明点を
親切に教えてくれるので、一度は足を運ぶ価値アリ!

 この浅草の「仏壇神具通り」は、その名の通り、仏壇や神具の専門店がたくさん集まっているところ。訪れた日は東京のお盆数日前ということもあり、多くの店先で「盆提灯」をみかけました。ちなみに、筆者は盆提灯を持っていません。これってやはり必要なのでしょうか? そこで、お店の人にきいてみることに。するとこんな答えが返ってきました。

「あれば華やかでいいと思いますけど、なくても大丈夫ですよ」
 
 なんと、非常に柔軟なお答え! ちなみに、盆提灯とは、亡くなった先祖の霊が迷わず帰ってくる目印となるために飾るもの。値段はピンキリですが、店頭でみかけたものだと、5,000~1万円あたりものが主流でした。
 
 しかし、故人の最初のお盆にあたる「新盆」の場合は、新盆用の「白提灯」が必要になるそうです。こちらも意味としては盆提灯と同様ですが、新盆の場合は、霊が戻ってくるのも始めてなので、迷うことがないようにしてあげることがより重要になるのでしょう。

 では、ほかに何が必要なのでしょうか? ちなみに筆者は毎年、スーパーなどで「お盆セット」のようなものを購入しています。そこに入っているのは、迎え火や送り火を焚く「麻柄」や、馬と牛の置物など。いかにも“簡易版”という感じですが、お店の人に尋ねてみると「はい。それで大丈夫です」というお答え。

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近所のスーパーで購入した「お盆セット」。迎え火や
送り火を焚く「麻がら」やご先祖様を牽引する
「馬牛」、季節の野菜などをお供えする「まこも」
「まこも縄」などが入ったセットで700円

「当店のような専門店にはこういったセットは置いておりませんが、7月の盆の時期になると、スーパーマーケットに行けばたいてい置いてあります。それを購入していただいて、13日に迎え火、16日に送り火を焚いていただければよろしいかと」

 さらに時期についても、「東京は7月がお盆ですが、都合によっては8月にやってもかまいません。もともと東京が7月というのも、地方出身者が8月に帰省するので、7月に設定しているだけですから」とのこと。

 なるほど。東京のお盆というのは、「8月に都合が悪い人は7月でもいいですよ」という意味での7月ということなのですね。そう考えると、東京で7月にお盆の雰囲気がないのも納得できます。

 東京のお盆事情はこんなアバウトな感じですが、地方によってその風習はさまざまです。たとえば、愛知出身のTさんの場合、お盆の風習は以下のプロセスがあるそうです。

・8月13日の朝に家族総出で先祖の墓に行く
・墓を掃除して線香の束と花を供え、お参りする
・供えた線香に火を点けたまま、家に帰る
・帰宅後、仏壇にその線香を供える

 
 いわゆる「送り火」「迎え火」は、なし。これらの工程はすべてTさんの祖母が取り仕切っていたそうですが、こういった地域に伝わる儀式をしっかり受け継ぎ、取り仕切る人がいると、参加する人も安心できます。しかし、都会に住む核家族で、しかも筆者のように比較的早く親を亡くした場合は、やはり困ってしまうもの。いざという時のために、その土地のお盆の風習をしっかり見直すことは大切だなと、今回改めて感じた次第です。
(高山惠)



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