――信仰の有無に関わらず、さまざまな場面にスピリチュアル思想が盛り込まれている日本の冠婚葬祭。なんとあな〜くやり過ごしているものの、中には「アレ? これってありなの?」と思うようなちぐはぐなものも……。そこで、長年の海外暮らしで培ったガイジン的視点から、半分ガイジン!? な映像ディレクター・市村幸卯子が、日本のちょっとおかしなしきたりについてツッコんでいきたいと思います!

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(c) yuko ichimura

 先日、「ブライダルフェア」に行って参りました。

 神社主催、ホテルや式場主催、いろいろお邪魔しました。どちらもとても、SURREALな場です。来場者は30〜40代。いろんなタイプの、なんとなくお互いに似通った男女2人組が、微妙な距離を保ちながら言葉少なに点在し……そこで出会うのが、「ウェディングプランナー」さんです。

 概して、Old Skool (古いタイプ)のプランナーほど、新郎新婦が引くほど過剰にお目出度ムードを盛り上げてくれます。以前結納の話でも書いた、「ニッポン文化はダジャレが大好き(※「おめで鯛」など)」に通じているかのような、“言霊至上主義”の気配をここにも感じました。

 なかでも、東京のN神社のウェディングプランナーは「スゴ腕」でした。

「お2人は幸運でございますね〜! お式予定の時期には雨は降りませんので、お2人の門出にふさわしい晴れやか〜な青空でしょう! 本当にラッキーですねえ〜」と言いながら、境内に私たちを案内してくれました。そして、中庭に入ると、今度はこう言います。「この玉砂利! 雨の日には雨垂れが玉砂利にうつくしく響き、そ・れ・は・も〜〜う幻想的だった〜と参列者の皆様方にも好評で〜」。

 私は完全に混乱しました。 

 次に同フェアの目玉、白無垢の試着です。しかし、白無垢は厚手の布団のようで、とにかく重い! シルエットがまん丸! なにかのキャラクターにでもなったかのような姿です。その上、自分では絶対に選ばない(すまん)“ニッポンの結婚式でしか見ないパーティーふうの髪型”に強引にされてしまい、衝撃SHOCKING!
 
 鏡の中には、白無垢でパーティーヘア(悶)の白ガメラと、空気を察して私の顔色をうかがう新郎。しかし、それもプランナーの手にかかると、「あら、ご新郎様が、ご試着に喜ぶご新婦様のお姿をじーっとみつめられて、本当にお幸せそうにしてらっしゃいますねえ〜さっどうぞお写真を!」。

 これでいいのです。このプランナーさんが本当に言おうとしていることは、「どう転ぼうと幸せやろ、なにしろあんたがた、幸せなんやから(おっさん顔で肩をポン)」という暗示なのです。

 別の老舗ホテルのウェディングプランナーは、「ご披露宴ではお2人の誕生石をイメージしたオリジナルカクテルなどいかがでしょう?」と言います。

 なんで? 居酒屋か! タンジョウビ関係ないやろ! なんとなくめでたそうならそれでいいのか!(笑)

 こうして見せつけられた「こじつけでもいいから、おめでたいことだけを言って言って言いまくるよ!」という、厄よけにも近いcelebrationへの気合い。これはあれだ、ニッポンの“言霊を大事にする”精神性を表しているに違いない。おかげで、私もなんだか気分が高揚して参りました。

 ウェディングプランナーは、“縁の下の巫女 OF THE CEREMONY”!

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■市村幸卯子(いちむら・ゆうこ)
1975年、神奈川県生まれ。映像ディレクター、国際マンガ家。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・ファインアート科卒業。11年間のイギリス滞在を経て帰国。ロンドン時代よりTVCM、ミュージックヴィデオ、アニメーション作品など数多く手がける。著書に、福島第一原子力発電所事故後の東京の日常を描いた『3/11-TOKYO INTERRUPTED-東京一時停止-』(Carlsen Verlag社)がある。
公式HP

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