友人や友達、恋人にも、なんとなく相談しにくい……そんな悩みのひとつやふたつ、誰しもあるはず。体にまつわることならなおのこと、抱え込んでいるといつしか精神まで病んでしまうことだってありますよね? そんな時、心の拠り所になってくれる寺社仏閣を紹介するこの連載。知っておくと役に立つ!? ありがた~いパワースポットを巡ります。

<行きつけパワスポ その2>
功徳林寺(台東区谷中)

■全国各地に勧請された“瘡平癒”の神様

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日暮里駅から谷中銀座方向に進み、2本目の路地
を左折。そのまま進むと左手に功徳林寺の大きな
石碑が見えます

 連載2回目に紹介するのは、瘡平癒(かさへいゆ)の神様として知られる「笠森稲荷」。もともと、大阪府にある「笠森稲荷」が瘡平癒の神様として知られるようになったことが始まりとなり、全国各地に勧請(かんじょう【註1】)されていった稲荷様です。そもそも、この「瘡」とは、一般に傷跡にできる「かさぶた」ともいい、できものや皮膚に関する病のことを指します。しかし、今回注目したいのは、もうひとつの意味。実はこの「瘡」には、昔「瘡毒(そうどく)」とも呼ばれていた「梅毒」の意味も含まれているのだとか。「梅毒」なんて、まさに他人には相談しづらい身体の悩みのひとつのはず……。そこで今回は、現在も「笠森稲荷」を祀り、“江戸の笠森稲荷”として知られる「功徳林寺」のご住職、新谷さんを訪ねました。

 功徳林寺が笠森稲荷を勧請したのはいつ頃なのでしょうか?

「確かな情報を記す資料は残っていないのですが……言い伝えによると、明治16年、勧請された笠森稲荷があった場所に建立されたのが、この功徳林寺でした。それで建設の際に、境内にお社を設けて笠森稲荷を祀ることになったと伝えられています。とはいえ、見ての通り、うちは「笠森稲荷」であることを大々的に公表をしているわけではないんですよ。それでも、歴史好きの方やテレビで紹介されているところを見た方、昔からの言い伝えを信じる方々が、今でも参拝に来てくださっていますが」(新谷さん)

 ちなみに、同じ上野エリアには、功徳林寺のほかに、大円寺、養寿院にも笠森稲荷が祀られているそうです。

■笠森を“瘡守”ととらえて御利益に!?

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門をまっすぐ進むと佇む「笠森稲荷」のお社が

 それにしても、「瘡」の本来の意味を考えると、やはり「瘡毒」、つまり「梅毒」平癒の御利益があるというのは、少々強引な気が……。

 そもそも笠森稲荷は、“かさもり”というその名前の響きから“瘡を守る”ととらえられ、瘡平癒の神様として信仰されるようになったと言われています。そして当時、日本では発祥したばかりで抗生物質もなく、多くの死者を出して“奇病”と恐れられていた梅毒は、“腫瘍ができるから”といった理由で、“瘡毒”と呼ばれていたとか。そうした経緯から、笠森稲荷は「梅毒平癒の御利益もある」と広まっていきました。「梅毒で危篤」なんて、今では考えられない話ですが、江戸時代の医学事情を描いた『仁-jin-』(集英社)でも、梅毒で危篤状態の遊女という設定を見たような……。

 ちなみに、同じ谷中にある大円寺の近くには、その昔、遊郭があったそうで、そこの笠森稲荷には“瘡守”と表記されているのだとか。由来は不明とのことですが、遊女たちが瘡毒平癒に訪れていたのかも……しれないですね。

■土団子を供え、治癒すると米団子を供えていた!

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神殿の両端には表情の違うお狐さんが

 では、実際どのように参拝するのが正しいのでしょうか。

 笠森稲荷の参拝方法は、「土の団子を供えてお参りし、治ったら米の団子を供えに戻ってくる」というのが慣わしになっていたと言い伝えられており、発掘調査でも土団子が出土しているのだそうです。

 しかし、今の時代、さすがに土団子をお供えする人はいないので……参拝方法は至ってノーマルでした。

(1)赤い鳥居の前で一礼。
(2)手水舎はなくそのまま神殿前の賽銭箱にお金を入れ、鈴をならしてお参りを。
(3)お守りやお札などもありませんので、神殿前でしっかりと神様に願いを伝えましょう。

■早期完治など順調に治ることをお祈りしよう

 とはいえ、 「“治る”と言い切れないのが、御利益というものです。ただ昔からの言い伝えを信じて参拝してくださる方々がいるのも事実ですし……」と新谷さん。すべてを神頼みにするのではなく、病院で治療を受けつつ、早期完治や順調に治りますように、とお願いするのがベストなようです。ちなみに、梅毒の場合は……あまり声を大きくして言うことではないですが、「神頼みの前に、かからないよう対策をするのがいいのでは?」とのお叱りを受けました(汗)。まずは対策を、それでもダメなら早めに病院へ行きつつ、御利益を信じて!神頼みしましょうか。
(文/三谷由香里)

■パワスポDATA
功徳林寺(くどくりんじ)
住所:台東区谷中7-6-9
電話番号:03-3821-4469
営業時間:8:00~17:00頃
交通案内:JR山手線日暮里駅西口より徒歩7分

【註1】勧請(かんじょう)
神仏の来臨や神託を祈り願うこと。また、高僧などを懇請して迎えること。また、神仏の分身•分霊を他の地に移して祭ること。




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