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「儀式」といってもその方法は千差万別

■今回のオカルト事件
シカゴ・リッパーズ事件

 1981~82年に渡り、シカゴ周辺で若い女性が次々と誘拐、強姦、暴行、拷問された上に殺害されるという事件が発生した。大半の被害者は乳房が切り取られ、傷口を使ってマスターベーションをした形跡も残っており、事件の異常性に世間は震え上がった。警察の捜査は難航したが、奇跡的に一命を取り留めた被害者の証言を得て犯人を検挙。20人近くの犠牲者がいるとされるこの事件の犯人は、地元に住む4人の男性だった。そのうちの一人が「殺人は悪魔に捧げるための生乳房を手に入れるため」だと衝撃的な供述をしたことで、メディアは彼らを「シカゴ・リッパーズ」と呼ぶようになった。

 全米が注目した裁判の結果、直接殺人行為をした2人が死刑、殺人に関与した1人が禁錮70年に。主犯格だとされる男は「自分は殺害などしていない」と主張し、証拠もないため死刑にはならず禁錮120年が命じられた。「シカゴ・リッパーズ」はどれほど残虐な連続殺人事件だったのか。

 1981年6月1日、シカゴ郊外の治安の悪い地区で21歳の娼婦リンダ・サットンの遺体が発見された。一部白骨化していたため死後かなりの時間が過ぎていると見られたものの、検死結果は死後3日。乳房を切り取られたため、そこから蛆が大量に発生し腐敗が早まったのだった。被害者は強姦され激しく暴行を受けた痕があり、手錠もかけられ口には布が捻りこまれていた。なお、金は現場に残っており、物取り目当てでなかったことは明白であった。

 それから同様の手口の事件が連続し、中には死体でマスターベーションした形跡もあったという。1982年10月には、20歳の娼婦ビバリー・ワシントンが強姦、暴行され乳房を切り取られた上で路上に捨てられた。瀕死状態で発見された彼女は、なんとか一命を取り止め犯人について詳しく語りだした。

「男は赤いバンに乗っていた。バックミラーには羽とゴキブリのクリップが付けられていた。運転手は25歳の白人男性でフランネル・シャツを着ていた。ギトギトの茶髪で、言う通りにしたら金を弾むと言われ、車に乗ったら銃を突きつけられフェラチオをするように強要された。その後、大量の薬を飲まされ身体をコードでグルグル巻きにされ、それから意識を失った」

 ビバリーの証言を得た警察は10月20日、赤いバンを運転しているエドワード・シュプライツァーに質問をした。車は証言通りだが、エドワードの外見は証言とは違う。彼は「車の持ち主は僕のボス」だと言い、ボスであるロビン・ゲットの家に警察官を連れて行った。ロビンの姿を見て警察は色めきたった。ビバリーの語った犯人の外見そのものだったからである。

 最初、ロビンは警察官を見ても動揺することはなく、捜査にも協力的だったが、被害者がロビンの写真を見て「この人!」と叫んだことを知ると、早急に弁護士を手配。あまりの手際のよさに警察を驚かせた。実はロビンは、この事件の3年前にシカゴを震撼させた「キラークラウン」ことジョン・ウェイン・ゲイジーの下で働いていたことがあり、ジョンのケースを勉強していたため、警察にどう対応すればよいか熟知していたのである。

 ロビンの逮捕に二の足を踏んだ警察だったが、もう1人、生き延びた被害者の証言を入手することに成功。最低でも3つの事件に関わったとしてエドワードとロビンの逮捕に踏み切った。エドワードは、「自分が車を走らせ、ロビンが女性を誘拐し強姦、暴行し乳房を切り取った。自分は血が苦手で、吐いたこともあったが、ロビンに命じられ乳房を切ったり、傷痕でマスターベーションをするようになった」と詳細に語りだし、7件の殺人と1件の暴行に関わったと供述した。

 エドワードが自白したことを聞かされてもロビンは表情ひとつ変えず、一貫して否定。そうしているうちに、エドワードが突然、自白内容を変え、「殺したのはロビンじゃない。自分の彼女の兄貴アンドリュー・ココライズが殺したんだ」と言い出した。そして、逮捕されたアンドリューは、素直に「殺害したのは自分」「ローズ・ディヴィスとロレイン・ボロウスキは俺が殺した。全部で18人殺した」と自供した。

 警察が聞き込みを強化すると、アンドリューの弟トーマス・ココライズが自分も犯行関与していることを認める発言をしたのだ。周りから「頭の弱い奴」だと言われ、知能指数が低かったとされるトーマスは、警察に促されると、事件の真相をベラベラ語りだしたのである。

 トーマスは自分たちのことを、80年代アメリカの若者の間に流行っていた悪魔崇拝者だと説明。ロビンの家の屋根裏が悪魔教会であり、壁には6つの赤と黒の十字架が描かれており、赤い布をかけた祭壇の周りに皆でひざまずき、儀式を行ったと語った。「生乳房はこの儀式のために必要な生贄」とも明かしている。その儀式だが、まずロビンが聖書の文を読み上げるのを聞きながら、1人ずつ生乳房でマスターベーションを捧げる。そして、全員のマスターベーションが終了したら、ロビンが乳房を小さく切り皆で食べるというものであった。

 なぜ、そのような恐ろしいことをしたのだと警察に問われたトーマスは、キラキラした目で「そうすれば、ロビンに悪魔の力がのり移り、僕たちの願いをすべてかなえてくれるから」だと言い、「やんなきゃいけないんだよ。ロビンが言うんだから絶対だ」と強く述べた。

 実はロビンを知る多くの人が、彼には不思議な力があると恐れ、警察官に「ロビンの目を見てはいけない」と警告した人までいたという。ロビンは子どものころに妹にいたずらをしたため、祖母に引き取られ育てられた。誰もが彼を煙たがり、寂しい生活を送るようになった彼は思春期になると悪魔崇拝にのめり込み、自分には特別な力があると吹聴するようになった。悪魔に祈りを捧げれば、超自然的な力を得ることができ、周囲から一目置かれるとでも思い込んだのだろう。悪魔の虜になったロビンの目は異様な光を放つようになり、周囲の人々は彼を恐れるようになったのだ。

 なぜ、悪魔崇拝の儀式に乳房を使ったのか。ロビンはすべてを否定しているため、真相は明かされていない。しかし、彼は青年時代から乳房に強いこだわりを持っていたと多くの人が証言しており、自分の性欲の対象を悪魔に捧げることで願いをかなえてもらえると考えていたという説が有力だとされている。

 ロビンと知り合いだという女性は、「乳を針で突き刺したい」と告白され、実行してもよいかと繰り返し頼まれたと警察に語っている。また、妻も乳房を針で刺されるというプレイを受けていたとのこと。刑務所を訪れた女性ジャーナリストから、「あなたは乳房に強い関心をもっていますよね。乳フェチですよね。なぜ、そこまで乳房にこだわるのですか?」と質問された時、ロビンは「私は事件には関係していないが」と前置きした上で、「乳フェチなのは家系なんだよ。曽祖父の頃から代々、巨乳と結婚しているしね。元妻も39Dで満足させてもらったよ」とニヤニヤしながらコメント。インタビューをしたジャーナリストは、悪魔は単なる口実で、異様な性癖を満たすために次々と女性を殺めたともとれるような発言だと、感想を述べている。

 このように刑務所では乳への思いを熱く語ったロビンだが、裁判中は乳房への思いを隠し、一貫して無罪を主張。彼が犯人だという証言者はいるものの、証拠がないとして、最終的に死刑は免れた。1983年、彼は強姦、暴行罪などで有罪判決を受け禁錮120年を命じられている。

 トーマスは、殺人罪が認められ、1984年に禁錮70年に。アンドリューには死刑が宣告された。が、実は統合失調症であったとして死刑撤回を求めたものの、1999年3月17日に刑は執行された。最低でも4人の殺害を認めたエドワードも、1984年に死刑が言い渡され、2002年10月に執行された。

 エドワードは生前受けたジャーナリストの取材で、仕事も金もなく薬にはまってボロボロだったときにロビンに助けてもらい、仕事をもらったと語っている。弱みを握られ、気がついたら手先になってしまったというのだ。トーマスもそうだが、エドワードも周りからバカにされており、ロビンに上手く洗脳されてしまったのだろう。

 ロビンは自分が悪魔崇拝者であることは否定しているが、今なお不気味な目力をもっており、悪魔の魅力にとりつかれていると伝えられている。






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