最近は、開運のために「お水取り」をする人が増えています。お水取りとは、その名の通り水を手に取ることですが、ここ東大寺がそのすべての始まりといわれているのは意外に知られていません。東大寺のお水取りとは、境内内にある二月堂で行われ、正式には修二会(しゅにえ)という行事で、関西で「お松明(たいまつ)」と呼ばれることがあります。

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修学旅行の時には分からなかった東大寺の魅力がいまならわかります

■一千二百余年伝わる神事

 お水取りとして知られる修二会は、3月1日から2週間にわたって行われます。3月12日の深夜には、若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われます。また、修二会を行う者を連行衆(れんぎょうしゅう)といい、この行事を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、夜毎、大きな松明に火がともされ、訪れた人々の歓声を誘います。

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敷地内には、火を点ける前の松明が並びます

 東大寺の長い歴史の中でも、このお水取りの儀式だけは、一千二百余年余年の間、一度も中止されることなく引き継がれてきました。国家の天下泰平を祈り、その時代の天皇や元首からの依頼で執り行われてきたと伝わっています。関東ではあまり知られていませんが、日本を何千年も守ってきた神事とあって、この季節に無病息災・厄除けを願う人で東大寺は満員になるそうです。

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修二会が行われる二月堂。大仏殿を出て、右手の手向山神社にあります

 また、3月12日には、二月堂では「だったん」という火の行法が行われます。「だったん」とは、二月堂の中で、火のついた松明(たいまつ)を転がし、鈴やホラ貝にあわせて練行衆が踊る儀式。この「だったん」はサンスクリット語から派生した「焼きつくされる」という言葉で、この行法によって人々の煩悩を焼き尽くすのだそうです。思わず息を飲む、室内で火のついた松明を転がすという無謀さ。なんでも江戸時代には、この火が建物に燃え移り二月堂は消失したそうですが、それに臆することなく今も行事は続いているというのだから、それほど重要な神事だとわかりますね。

■ご香水は一滴ずついただけます

 クライマックスはやはり夜から。火のついた大松明を練行衆の一人が持って二月堂の階段を上ります。そして「走り」。「走り」は、文字通り大きな松明を持って二月堂の長い廊下を走り抜けること。このとき廊下から火の粉が飛び散りますが、この火の粉を浴びると幸せになると信じられているといわれ、火の粉の飛び散る場所にはたくさんの人が待ち構えています。松明を目にしただけでも煩悩が消えた気がするのが不思議です。

todaizi008.jpg火が点いた瞬間に歓声が!

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大きな松明は迫力満点

 お水取りでどうしても欲しいのは、やっぱり「水」。残念ながら今回は「ご香水」を浴びることはできませんでしたが、通常は3月12日の深夜1時ごろ閼伽井屋で一般の人にも一滴ずつ「ご香水」として配られるそうです。ぜひとも来年は、万全に準備して、貴重な幸福の水を手に入れたいと思います。
(樫原叔子)



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