――神社に行っただけでご利益があると考えてはいないだろうか? 神社に参拝するときは、何よりも失礼がないようにするのがご利益への第一歩。神主さんや神職者の方が教える参拝の作法や習わしを学んで、神社についての理解を深めよう。

【第12回 おさがりと直会】

 今回も神主の平松温子さんに、神社にまつわる基礎知識を伺いました。今回は「おさがり」と「直会(なおらい)」についてです。

■祭りの後の宴会は神様と食事を共にする儀式のひとつ

 神社では、年間にあるお祭りなどの時、神様にいろいろなものを捧げます。その際に、神様に捧げる食べ物やお酒、お塩を「神饌(しんせん)」と呼び、神饌を下げたものが「おさがり」です。神様から下げたものですから、これはとても貴重なものと昔から考えられていました。この「おさがり」を食べることを「直会(なおらい)」といい、神様に捧げたものを食べる行為で、神様と食事を共にしたという意味があります。

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神饌の塩

 神様と共食をする=直会をするのは、神様と共生していくという思想に基づいています。お祭りなどでどんちゃん騒ぎをするのは、もともとは神様のおさがりを食べたり飲んだりしたのがはじまりです。神様とより強い縁を結びたいと願う心が現れたものです。

 おさがりは、「撤饌(てっせん)」とも呼ばれますが、もともと撤饌とは、神饌を徹すること、またはその儀式のこと。そこから派生して、おさがりとして参拝者に撤下(てっか)されるもの(撤下神饌)も撤饌と呼ばれるようになりました。

■ご祈祷の後の「直会」を忘れずに

 神社の社殿内で昇殿してご祈祷を受けると、出口でお神酒が渡されます。そのお酒も「おさがり」で、お神酒を飲むことで「直会」としています。さらに帰りには、お札と一緒にお酒やお塩、干菓子や鰹節などを渡されます。それは家に持ち帰って、家族で供食をするためのものです。「直会」は、大人数でしなくても一人で行っても「直会」になりますので、一人暮らしの方でも大丈夫です。

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お札と一緒にいただけるおさがり

 ひとくちに「直会」とはいっても、各地方や神社によって、形式も捧げるものも違いますし、神事を行なう季節によっても異なってきます。

 一般参拝者でなくても、神職でも、天皇陛下でも直会はします。大嘗祭(だいじょうさい)は、天皇陛下のご即位後、最初に行なう新嘗祭(にいなめさい・収穫祭にあたるもの)のことですが、おひと方の天皇陛下が一度しか行なわない何十年に一度しかない、一代一度だけの大祭です。

 この大嘗祭も神様と直会を行うもので、神様と食事を共にすることが祭りの根幹となっています。このように昔から日本では神様と共食し、神様との絆を強めるようと願ってきたのです。「神人共食」といって、神まつりの中でも重要な儀式のひとつになっているといえるでしょう。
(樫原叔子)


■神主が教えるスピリチュアルトリビア・バックナンバー
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【第2回 手水、神前の作法】
【第3回 心霊写真の対処方法】
【第4回 お札と神棚の祀り方】
【第5回 参拝時の服装】
【第6回 御朱印】
【第7回 神様とご利益の関係】
【第8回 秋のお祭り】
【第9回 神主になる方法】
【第10回 神主の生活】
【第11回 お札を取り替えるタイミング】



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