――神社に行っただけでご利益があると考えてはいないだろうか? 神社に参拝するときは、何よりも失礼がないようにするのがご利益への第一歩。神主さんや神職者の方が教える参拝の作法や習わしを学んで、神社についての理解を深めよう。

【第11回 お札を取り替えるタイミング】

 今年もとうとう12月。この一年はいかがでしたでしょうか?

 古代日本人から受け継がれた精神として、私たち日本人は、年の終わりにはさまざまな物事をきれいにして、新しい年を迎えようと考えてしまいます。

 以前、知らず知らずのうちについた罪や、心身の穢(けが)れを祓(はら)う「大祓(おおはらえ)」をご紹介しましたが、大祓は神社で年に2回行われます。1回目は6月末に、2回目は12月末です。特に12月末に行われる大祓は、今年1年かけて自分の身に積もった罪穢れを祓い、心身ともにきれいになって新しい年を迎えるための行事でもあります。

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新年を迎える前に、忘れずにお札を取り替えましょう

 家庭でも大掃除と称して今まで掃除ができなかったところまで掃除をし、お正月飾りを飾ったりすることでしょう。そして、神棚のお札を新しいものと交換して、来たる新年に向けて準備をします。神社のお札やお守りなどは1年で新しくするというのが習わしですが、例えば、9月にいただいたお札はこの年末で納めなければいけないのでしょうか? 氏神様(氏子地域の神社)、天照大神のお札(天照皇大神宮)、崇敬する神社などのお札は、年末といっても、どのタイミングで取り替えればいいのでしょうか?

■お札の「一夜飾り」はご法度

 神社では、翌年のお札を12月1日から出すことになっています。新年のお札は、これ以降に神社から受け取ったものを翌年のお札としてまつります。1年に1回行われる大祭のお札や、そのほかの祭礼などで出されるお札に関しては、翌年の祭礼の日までまつっておいていいでしょう。例えば、11月の「酉の市」でもらった熊手は、翌年の酉の市までまつっておいて、その年の酉の市で新しいものと交換するのがいいでしょう。旅行など遠方の神社でいただいたお札については、人によっては翌年の年末までまつっている人もいますが、やはり新年は新しくして迎えたいものです。

 12月に入り大掃除が終わってしまえば、神棚を清掃し、新しくいただいてきたお札に取り替えます。「この日に取り替えなければいけない」というのは特に決まっていませんが、基本的に年内に替えましょう。ただし、年末ギリギリでは縁起が悪いといわれています。

 29日は「九日飾り」といわれ、「九」が「苦」に通じるとして嫌われています。また、31日は「一夜飾り」といわれ、不幸があると慌ただしく祭壇を飾ることと同じなので、こちらも嫌われているのため、この日よりも前にお札を取り替えましょう。

 また、大みそかから元旦にかけて、年神様(としがみさま)が家々にやってきます。近年は忘れられていますが、大みそかから元旦にかけて年神様を一緒に迎えるために、夜通し起きていたり、江戸時代ではその年の恵方の社寺への「恵方詣」(初詣)が盛んでした。年神様は、地方によっては、お歳徳(とんど)さん、若年さんなどとも呼ばれ、暦では歳徳神、恵方神と記されることもあります。また、祖先の霊や氏神様とされるところもあるようで、地域によっては年神様のお札が出されている神社もあるようです。

 神棚のお札は年内に準備するのですが、お守りなどは新年明けてから初詣でいただくのがいいのでしょう。

■本来のお正月は日が昇ってから

 新年を迎えると「明けましておめでとうございます」と言いますが、"年が明ける"というのは、年神様がいらした時のことを指します。ですから、1月1日0時0分をもって正月とするのではなく、むしろ明け方に近い時間が正月になります。そのため、神社では、元旦の朝に行われる「歳旦祭」を終えて、初めて「明けましておめでとうございます」と言うそうです。

 「日の出とともに年神様がくる」という人もいますが、宮中では元旦の午前5時半頃に、宮中で一番最初の行事「四方拝」が行われます。5時40分頃に天皇と皇太子さまが年始を祝う「歳旦祭」の礼拝を行うそうですから、日本ではこのぐらいの時間が年明けなのかもしれません。一部の神社では、元旦の朝に行われる歳旦祭を終えて、はじめて「明けましておめでとうございます」と言うそうです。

■中津川昌弘(なかつがわ・まさひろ)
米国留学中に日本文化の重要性に気づき、現在まで伝統文化や神社仏閣の研究を重ねている。日本文化を海外に発信しようと、僧侶、神職とも交流を深め、忘れられてしまった日本の風習などに光を当てるために活動中。現代神社と実務研究会理事を務める。著書に『日本のおまもり』(徳間書店/共著)がある。
ハッピーお守りライフ

■神主が教えるスピリチュアルトリビア・バックナンバー
【第1回 鳥居のくぐり方】
【第2回 手水、神前の作法】
【第3回 心霊写真の対処方法】
【第4回 お札と神棚の祀り方】
【第5回 参拝時の服装】
【第6回 御朱印】
【第7回 神様とご利益の関係】
【第8回 秋のお祭り】
【第9回 神主になる方法】
【第10回 神主の生活】



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