――神社に行っただけでご利益があると考えてはいないだろうか? 神社を参るときは、何よりも失礼がないようにするのがご利益への第一歩。神主や神職者が教える参拝の作法や習わしを学んで、神社についての理解を深めよう。

【第10回 神主の生活】

 前回は神職の資格を取ったばかりの平松温子さんに神主になる方法についてお話を伺いましたが、今回は神主の生活や実態について教えてもらいました。

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聖職者というベールをはがします

■神主だけで生計を立ているのは少数派

 神主の一日は、朝、神様にお供えものをしてお祀りすることからはじめます。もちろん、掃除はお祀りの前に済ませます。昼間は、社務所の管理やお守りなどの授与などをしています。

 現在、大規模な神社に勤務している場合を除くと、神主だけで生計を立てているのは全体的に少数です。お祭りの時だけアルバイト的に雇われる神職=「助勤」というものもあります。また、自分の生家が神社の社家であり、神職を本職としている人であっても、今は副業を持っている場合が多く、地方では、代々学校の先生と神職をかけ持ちしている人も多くみられます。

 これは明治時代、聖職者(神社の神職に限らず)に就いている者は「人を導く立場にあるのであるから、積極的に教化活動をするように」というおふれが出ため、教師になる人が多かったからです。「教化活動をしなさい」というおふれは後に下げられますが、今もその名残が残っているのです。

■神職者は減少の傾向に

 神社と同じぐらい日本人になじみのあるお寺。では、この二つ何が違うのか分かりますか? 簡単に言えば、信仰している宗教が違うということです。「仏教」を信仰しているのがお寺で、「神道」を信仰しているのが神社です。神道は昔から日本にあった自然信仰から起こったものです。

 明治維新が起こり、政教分離政策がとられた際に神道は国家の宗祀であるとされ、他の宗教とは分けられたことにはじまります。近代国家として政教分離は当然のことなのですが、これにより国家の政策として日本の国と神道は切り離せないものとされました。国家と神道の結び付きを留めておくために、神道は他の宗教とは違う、という線引きをしたのです。

 しかし、仏教をはじめとする他の宗教側が「神道は宗教ではないのなら、葬式などの宗教的行為をすべきでない」と言いだしたため、神道式の葬式(神葬祭)などは廃れていきました。葬式や地鎮祭といった宗教的行為をしないと職業としては成り立たないのに、神社はその部分を排除されたのです。神道を国家の宗祀という割には、国から金銭的援助が豊富にあったわけでもなく、結果的に神社は困窮しました。

 現在、神職が減少傾向にありますが、これは仏教と違って収入が少ないからではありません。現代は、実質的に少子化による後継者不足、宗教離れや都市化の中での氏子意識の低下などによる氏子の減少などが原因のひとつになっていると思われます。

 スピリチュアルブームで神職に憧れるのもいいけれど、実際になってみて生活していくのはかなり大変なことなのだといえるでしょう。
(樫原叔子)

■神主が教えるスピリチュアルトリビア・バックナンバー
【第1回 鳥居のくぐり方】
【第2回 手水、神前の作法】
【第3回 心霊写真の対処方法】
【第4回 お札と神棚の祀り方】
【第5回 参拝時の服装】
【第6回 御朱印】
【第7回 神様とご利益の関係】
【第8回 秋のお祭り】
【第9回 神主になる方法】



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