――神社に行っただけでご利益があると考えてはいないだろうか? 神社を参るときは、何よりも失礼がないようにするのがご利益への第一歩。神主や神職者が教える参拝の作法や習わしを学んで、神社についての理解を深めよう。

【第9回 神主になる方法】

 最近のスピリチュアルブームで神社を訪れる人も多いですが、神主さんにあこがれる人も多いようです。では、神主にはどうやったらなれるのでしょうか。今回は、神職の資格を取ったばかりの平松温子さんにお話しを伺いました。

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まさに、選ばれた者しかなれない「神主」という職業

■神道系の大学を出ても「推薦」がなければ神主になれない!

 神主になるにはいくつか道があります。ひとつは、高校を卒業して神道学科のある大学に入学する方法。もうひとつは宮司の推薦を受けて神主の要請過程を修了することです。

 神社の家系でなく、神職を志してなりたいという人は、大学に入学したり、大学院に入ったり、専攻課に入ったりするのが一番の近道です。しかし、大学へは入学試験さえ合格すれば誰でも入れますが、最終的に神主になるには、「宮司の推薦」を得なければいけません。なりたいからといって誰でもなれるわけではないのです。

 社家(神社)に生まれたり、後継者の必要性から親族の中から神職にならなければいけない場合、宮司の推薦を得てその神社の属する都道府県の神社庁から推薦状をもらい、大学に提出します。それを神社庁が認めれば卒業後、神主になれます。

 しかし、特に神社の家系でない一般の人が神職(神主)になるには、神社とのそれ相応の関係性が前提となります。奉職先(就職先にあたる神社)が決まっていれば、その神社の宮司の推薦をもらい、その神社の所属する都道府県神社庁から推薦状をもらう方法もありますが、誰でも推薦されるわけではないので、かなり狭い門と言えます。

■資格を取った後も続く、上階位への果てしない道のり

 今回話を伺った平松さんは、叔父さんが神職者であり、後継者の必要性から神主の資格を取ったそうです。日中仕事をしているため時間が取れない社会人のために、夏休みや春休みを利用して資格が取れる短期間(約1カ月)の講習会を開いているところもあります。平松さんは、この神職コースを受講しました。

 まず、神職になるために、神職の観点から日本史を学びます。具体的には神道史、古典(古事記など)、日本史、祝詞、法規、道徳、宗教学など。上の階級になると神道神学や比較宗教など、学ぶ教科も増えてきます。

 次に、神様に仕えるための作法を学びます。この作法とは、神様に対して失礼のないようにする方法のこと。心を込めて神様をお祀りをする方法を身につけることが、神職の第一歩といえるでしょう。

 また、神職には階位があり、下から「直階(ちょっかい)」「権正階(ごんせいかい)」「正階(せいかい)」「明階(めいかい」「浄階(じょうかい)」と5段階あります。一番上の「浄階」は、神職としてのキャリア年数や功績によって与えられる階位です。

 國學院・皇學館の神道科4年制を順調に卒業、あるいは専攻科の過程を履修すれば、普通は「明階」までを一気に取れますが、平松さんが受講したような講習会だと1階位ずつ取ることになります。さらに、短期間の講習会では「正階」までしか受講できず、講習会出身の人が「明階」を取るには、自分で勉強して、年に一度の試験に合格しなければならないため、とても長い道のりになります。

 神社の統括や神主の育成をしている神社本庁という機関ですが、ここは公的な機関ではなく、あくまで任意の団体(※宗教法人)。ほとんどの神社はここに所属していますが、意外にも初詣で行くような大規模な神社でもここに属していないところもあります。一社の故実といって、基本の作法以外にも独自の作法を持つ神社が多々あり、そのため、神社本庁に属さず単立神社でいることを選んでいるようです。

 このように、神職への道はかなり厳しく、神主になれたとしても上階位を得るには、その人の歩んできたルートによっては何年もかかってしまいます。また、神主として働き始めても、神社ごとに独自の作法があり、それを覚えるのだけでもかなりの年月を要します。神職者は、信仰心はもちろん、強い志がなければ、続けていくことのできない仕事と言えるでしょう。
(樫原叔子)

■神主が教えるスピリチュアルトリビア・バックナンバー
【第1回 鳥居のくぐり方】
【第2回 手水、神前の作法】
【第3回 心霊写真の対処方法】
【第4回 お札と神棚の祀り方】
【第5回 参拝時の服装】
【第6回 御朱印】
【第7回 神様とご利益の関係】
【大8回 秋のお祭り】



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