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Photo By andyaldridge from Flickr

 占い師の年末は9月から始まっているというのをご存知だろうか。占い師というと、薄暗い占い館の中で妖しく黒いベールをまとって鑑定という姿をイメージしたくなるものだが、ほとんどの占い師は鑑定以外にも雑誌や新聞、フリーペーパー、WEBサイトや携帯コンテンツなどの占いコーナーの記事執筆や監修という仕事を手掛けているため、世間はまだ残暑きびしく、冬なんてまだまだ先という時期に、占い師はすでに来年の運勢を執筆しているのである。

 特に売れっ子占い師は、この秋のシーズンに腱鞘炎になるほど占い原稿を書きまくる。この時期が占い師の一番の繁忙期。しかも、「来年の運勢」は占い師としての実力の見せどころ! 力も入るというもの。そして、冬を迎える前には気力と体力を使い尽くしてヨレヨレ状態になるのだ。

 でも、これは占い師に限らず、常に季節を先取りする出版社や秋に新春番組を収録するテレビ業界だって同じこと。しかし、出版社やテレビ業界は年末進行が終われば一段落つくが、占い師はこれからさらに忙しくなるのだ。

 原稿執筆で気力を使い果たした身体にムチ打って、今度は鑑定のかき入れ時を迎える。相次ぐ忘年会や合コン、クリスマスに大晦日。街はきらびやかに彩られ、クリスマスソングが流れ、一年でもっとも華やかなシーズンが到来。それに伴って客もたくさんやってくるのである。ヘロヘロになっている場合ではないのだ。

 特に年の終わりという言葉を聞くと、それまでモヤモヤと抱えていた問題をすっきり解決したくなるというもの。「年末までに」とか「クリスマスまでに」など、「切羽詰まった感」の客がたくさん訪れる。普段から鑑定の場においての相談内容としてトップを極めるのが「恋愛(不倫も含む)」なのだが、この時期の相談はいつもよりもかなり濃厚な内容が増えるのである。

「一人ぼっちのクリスマスはもう嫌だけど彼氏はいつできる?」
「運命の人に今年中に会えるの?」
「元カレと何がなんでもクリスマスまでに復縁したいけどどうすればいい?」

などなど、もはや待ったなし、と切羽つまった女子たちが、より具体的な結果を求めて占い館に駆け込んでくる。その数も普段の比ではない。

 また、不景気の極みのような昨今では、普段は滅多に占い館に訪れないような、スーツ姿のサラリーマンの客も激増している。

「リストラのメンバーを決められない。誰を切ればいいか?」
「会社が傾きかけているが、今のうちに転職すべきか?」
「借金が返せそうもないが、抜け道があるか?」

など、占いで決めて大丈夫なのか? と突っ込みたくなるような、重たい質問もかなり増え、いつも以上に鑑定に神経を使う。

 占い館などで働く占い師の場合、個人差はあるが、10時間前後占い館につめている人が一般的。ひっきりなしにギリギリに追い詰められた客に対応し、それぞれの話を親身に聞いてアドバイスをするには、肉体的にも精神的にもそうとうなタフさが必要だ。

 年末の鑑定を乗り切ったら、次は年始の鑑定が待っている。「今年の運勢はどうなるのか」と気軽に鑑定にやってくる客が多いため、年末に訪れる客と比べて相談内容は重くはないのだが、新規の客を獲得するにはもってこいの場。1人でも多くリピーターにするために、鑑定の精度はもちろん、接客やひとつひとつの対応にも神経を使わなければいけない。

「年末年始の苛酷な日々を乗り切るために、滝行をはじめとしたいわゆる"修行"に励む占い師もたくさんいますよ」(現役占い師)

 このように占い師の年末年始は、顧客の何倍もの精神力も体力も必要とされる時期なのである。そして、この忙しさは世の中の仕事始めが過ぎても続き、占い師が正月休みを迎えようとするころには、すでに1月が終わっているのだ。



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