ある日、ポーズモデルをやっている友人から瞑想道場に行ってきたと聞かされました。瞑想道場? と思ってネットで検索してみたら、体験談もあちこちのブログに載っているし、本人から話を聞くと怪しくないので、いろいろ考えた後、思い立って行ってみることにしました。

 思い立たないと行かれない理由は、なんといっても日程。最低でも12日は必要です。しかも、向こうに行ったら携帯電話は使用不可なので、12日間まったく外部と連絡が取れないという。これはそれなりの覚悟はしなくては......。何よりも仕事関係者に不在にすることを説明するのが大変でした。

■10日間誰とも話さないヴィパッサナー瞑想

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自然に囲まれて気持ちの良さそうな施設。でも、室内で瞑想しかしないんです。

 行った先は、「日本ヴィパッサナー協会」という団体の京都の瞑想施設です。ここは、サヤジ・ウ・バ・キンの伝統のもとS.N.ゴエンカの指導によるヴィパッサナー瞑想を教えてくれます。ヴィパッサナー瞑想とは、「ものごとをありのままに見る」という意味で、インドの最も古い瞑想法のひとつです。この瞑想法は2,500年以上も昔、インドで、人間すべてに「生きる技」として指導されているものです。日本にもさまざまな瞑想法がありますが、古典的なインド式瞑想といっていいでしょう。

■電波も届かない山奥へ

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10日後、無事に帰って来れるのか......?

 京都駅に降り立つと、駅前には伊勢丹。煩悩の限りをつくしたくなる気になりますが、ここはぐっと押さえてランチを食べるだけに留めて山陰本線に乗り換えます。山陰本線に乗り換えて福知山方面の電車に。電車の中は人もまばらです。40分あまりで園部駅に着き、今度はバスに乗り、桧山というバス停まで向かいます。京都府内とはいうものの、ここはどこ? 私はだれ? と言いたくなるぐらい山奥です。場所でいうと黒豆で有名な丹波の方面だと言いますが、地理に疎いのでまったくもって、陸の孤島に来た気分。

 そのバス停に、センターの人が迎えに来てくれます。到着するとさっそく受付をして、携帯やパソコン、筆記具など、寝起きと瞑想に必要なもの以外はすべて一時預けになりました。

 部屋に案内されると、6人部屋なので布団が6組板の間に引かれています。それぞれにどこから来たのかとか話をしますが、話をできるのは今夜まで。明日朝からは、同じ部屋の人とはもちろん、人と口をきいてはいけないのです。話したり、目を合わせることは 「聖なる沈黙」と呼ばれ瞑想の妨げになるので禁止されているのです。ジュリアロバーツの映画『食べて、祈って、恋をして』にも出てきた瞑想風景を想像してもらうといいかもしれません。

 今回の参加者は全部で約40人程度。そのうち女性が6割くらいのよう。ヨガのカリスマといわれている先生がここに来ているとかで、ヨガの先生になりたい人がかなり来ていました。もちろん、みんなキレイ系女子ばかり。良くわからないまま、その日は就寝時間になりました。

■朝4時から夜9時まで瞑想修行
 
 朝4時にチャイムが鳴り起床。みんなで黙々と身支度をして瞑想ホールへ。

 朝の瞑想は4時半からの2時間。初日は「アーナパーナ」という集中力を養うための瞑想で、ひたすら呼吸を観察。2時間座禅を組むのでそれだけで体が疲れます。足が痛かったり腰が悪い人は椅子で瞑想を許されていますが、みんな座布団を増やしたり、足を組み替えたりと工夫をはじめます。 

 やっと合図が鳴り朝食の時間です。食事中ももちろん一切話をしてはいけません。みんな黙々と食事をとります。そしてそれぞれ部屋に帰り、次の瞑想時間までくつろぎます。くつろぐといっても引きっぱなしのふとんに寝たり、瞑想したりとさまざま。音も文字もない時間を過ごします。

 午後も2時間の瞑想がありますが、これは自由参加。しかし、みんな真面目な人ばかりなのか誰も部屋に残りません。しかたなく瞑想に参加。たいして辛くなかったといっていた友人はポーズモデルなので、体を動かさないことには慣れています。普通の人は、この体勢で2時間動かないのはキツイ。動かないというよりも、フロアにはびっしり人が座っているので動けないといったほうがよさそう。

 苦しんだ瞑想の後は、昼食、そして休憩後には再び瞑想と、あっという間に夜になります。夜は食事を食べないのが基本なので、初心者には果物。リピーターはお茶だけです。そして説法の時間。これでやっと1日目が終了。こんな感じで10日も続くのかが不安になります。

■10日後には何か変わるのか?

 他人と一言も話さず、瞑想するだけの毎日を続けていくと、カロリーを使っていない成果食欲がどんどん落ちてきました。「これは10日経ったら、何かが変わるんじゃないか?」そんな期待を抱いて瞑想の日々が過ぎました。

 11日目。最終日にこの合宿の料金を支払うのですが、これはあくまでも寄付なのでいくらでも構わないそうです。1日3,000円くらいかと思っていましたが、人によっては多かったり、少なかったりまちまち。

 そして、携帯などを返してもらってシャバにでます!

■瞑想道場のおかげで耳の機能が低下!?

 やっとシャバだ! 他の参加者には申し訳ないですが、あまり良さがわからなかったのも本当。頭がからっぽになりすぎて、単語も浮かんでこない。これはすぐに仕事復帰ができそうもない......と不安になっただけ。人と口を利かないのは一人暮らしならそんなに苦じゃないし、断食道場に行ったこともあるので食事もそれほど気にならないし。むしろちょっと肌寒い季節なのに、お風呂がひとつしかないので、順番を取るのに困っただけ。それと同室の人のイビキがひどく、心が清々となるどころが、イライラが増えたりも。

 京都駅に向かって、伊勢丹で買い物しよう! という相変わらずの物欲まみれでした。

 伊勢丹について、まず1階の化粧品コーナーに寄りました。ところが、相手の言っていることが良く聞こえない!? いや、聞こえているけれど耳に入ってこない。そして自分の発している声が、どこまで届いているか距離がわからない。う~ん。人間10日間も人と口を利かないと、耳が退化するようですね。伊勢丹でお土産を買って東京駅に戻ったのは良いのですが、社会生活に戻れるか不安でいっぱいになりました。何もかもが真っ白になる体験からどこまで自分が戻っているか、しばらくは不安を感じましたが、1カ月もすると完全復帰!

 この瞑想道場に何度も訪れているリピーターがいましたが、私は10年に一回くらいで十分です。でも、まだ経験したことのない人は、一度だけでも体験してみるのもいいでしょう。
(樫原叔子)



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