――神社に行っただけでご利益があると考えてはいないだろうか? 神社を参るときは、何よりも失礼がないようにするのがご利益への第一歩。神主や神職者が教える参拝の作法や習わしを学んで、神社についての理解を深めよう。

【第8回 秋のお祭り】

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浅草・鷲神社の酉の市。毎年多くの人で賑わいます。

 秋になると至る所でお祭りが開催されます。お祭りの中には、地元の商店街や自治体などが主催するものもありますが、多くは神社のお祭りに合わせて行われています。秋のお祭りは、その年の収穫を神様に感謝し、来年も豊作であるようにと祈るためのもの。そのため、「実りの秋」と言われるこの時期は、お祭りが多いのです。

■日本だけではない、さまざまな国の秋のお祭り

 海外でも収穫に感謝するお祭りが行われています。アメリカの「Thanksgiving Day(感謝祭)」は、秋の収穫を祝い、神の恵みに感謝してごちそうをいただいていたインディアンの風習にならったものだと言われています。

 ヨーロッパでは、さまざまな収穫祭が行われています。有名なのが、ハロウィンやボジョレーヌーボー。ハロウィンは日本で言うお盆のようなもので、ケルト人の死者の霊が家族を訪ねてくるという信仰が元です。ボジョレーヌーボーはフランスのボジョレー地区の新酒を祝うもの。9~10月に収穫祭が行われます。

 本来農業国である日本も、古来から神に農産物の収穫を感謝し、祝ってきました。日本の収穫祭と言えば、古くからは新嘗祭(にいなめさい)があります。新嘗祭は皇極天皇(飛鳥時代)には確立されていたとされ、旧暦の11月の2回目の卯の日に行われていました。明治になり新暦(現在の暦)が採用されると、その年の11月2回目の卯の日が11月23日だったために、以降11月23日を新嘗祭の日として現在まで受け継がれ、「勤労感謝の日」となり国民の祝日へと変わりました。

 新嘗祭では、神前に初めて新米を奉げ、それを自らもいただくという習わしがあります。これは、「神様に一番初めに収穫されたものを奉げよう」という精神からきています。現在ではなかなか難しいことですが、現代でも、新嘗祭が終わるまで新米は口にしないと言う人も結構います。

新嘗祭は今でも宮中で天皇陛下が昔ながらに収穫を神々に感謝する祭祀を行っています。また、神社でも参拝者と共に新嘗祭を行っているところもあります。

 東京であれば、10月には恵比寿様のいる神社(日本橋の宝田恵比寿神社、恵比寿の恵比寿神社など)には大根の漬け物を出す「べったら市」が、目黒不動尊ではサツマイモの「甘藷(かんしょ)祭り」、日本橋の小網神社で11月28日(月)に「どぶろく祭り」が行われるなど、農産物にちなんだ祭りが挙げられます。

<農作物の祭り>
日程/場所:11月28日(月)/日本橋・小綱神社「どぶろく祭り」

■「商売繁昌」を願うなら「酉の市」へ

 もちろん江戸(東京)は都会だけあって、農産物といっても加工食品が多いのですが、商業も盛んです。商いを営む人には、「酉(とり)の市」があります。11月の酉の日に行われるお祭りで、縁起物の熊手を買う風習があります。浅草の鷲(おおとり)神社や新宿の花園神社がなんといっても最大級ですが、府中の大國魂神社、目黒の大鳥神社なども有名です。

 今年(2011年)の酉の市は11月2日(水)、14日(月)、26日(土)にそれぞれの神社で行われます。また、酉の市が3回ある年は火事が多い年などと言われています。

<酉の市>
日程/場所: 11月14日(月)、26日(土)/浅草・鷲神社、新宿・花園神社など

■家事のことは「荒神様」にあやかろう

 品川の青物横丁にある海運寺では、11月27(日)、28(月)に大きな縁日が行われます。竈(かまど)の神様とされる荒神様(千躰三宝荒神)をまつられており、荒神様と、烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)のお札とともに大きな信仰を得ています。荒神様は台所で一番大切な火と水を守る神様。台所に荒神様のお札をまつると、衣食住に不自由しないとされています。また、烏枢沙摩明王のお札は「不浄を清浄と化す」神力を持つことから、お手洗にまつり、下半身の病にご利益があるとされています。

<荒神様の祭り>
日程/場所:11月27日(日)、28日(月)/品川・海運寺の縁日

 この他にも、年末にかけてさまざまなお祭りや縁日が各地にあるでしょう。しかし、一口でお祭りといっても、まつられている神様やその土地の風習によって、ご利益も変わってきます。出掛ける前にちょっと調べて行くだけで、お祭りを楽しみながら信仰を知ることができますよ。
(中津川昌弘+編集部)

中津川昌弘(なかつがわ・まさひろ)
米国留学中に日本文化の重要性に気づき、現在まで伝統文化や神社仏閣の研究を重ねている。日本文化を海外に発信しようと、僧侶、神職とも交流を深め、忘れられてしまった日本の風習などに光を当てるために活動中。現代神社と実務研究会理事を務める。著書に『日本のおまもり』(徳間書店/共著)がある。
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■神主が教えるスピリチュアルトリビア・バックナンバー
【第1回 鳥居のくぐり方】
【第2回 手水、神前の作法】
【第3回 心霊写真の対処方法】
【第4回 お札と神棚の祀り方】
【第5回 参拝時の服装】
【第6回 御朱印】
【第7回 神様とご利益の関係】






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