――実力だけでは生き残れないハリウッドという世界に生きるセレブ。彼らを支えているパワーの源、幸運をもたらす見えざる手を分析します。

russellbrand.jpg
セックス依存もドラッグ依存も、スピの力でなんとかなる!?

 破天荒なライフスタイルと毒舌ジョークで、爆発的な人気を集めた英国コメディアンのラッセル・ブランド。独特なハイパー・トークでTV司会者としても活躍しており、2008年と09年には、アメリカで開催されたMTVミュージックアワードの司会進行役に抜擢。キュートでポップな人気歌手ケイティ・ペリーと恋に落ち、世界中にその名が知られるようになった。このように、いまや公私ともに絶好調のラッセルだが、ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。

■何でもハマりやすいラッセル

 ラッセルの両親は、彼が生後6カ月の時に離婚。母親が引き取ったものの、繰り返しガンを発症し育児ができず、彼は親戚の家をたらいまわしにされながら育った。物心ついたころから孤独感でいっぱいだったラッセルは、小学生の時にうつ病と診断される。11歳で自傷・過食・嘔吐を繰り返すようになった。そして、15歳で初めてマリファナを吸い、「これこそが、自分の求めていたリリーフ! 苦しみから解放してくれるのはドラッグなんだ」と感動。マリファナからアンフェタミン(合成覚醒剤)、コカイン、クラック・コカイン、ヘロインと手を出し、19歳の時には複数の薬物に依存する重度のジャンキーとなっていた。

 その一方で、「有名になる」という夢を叶えるため、15歳で演劇の勉強を開始。20歳で演劇学校に入学するも、演技を酷評されたことに激怒し、頭で窓を割り胸や腕をガラスで切るという過激行為をしたため、退学に。ラッセルはその後、スタンドアップ・コメディアンとして有名になろうと心に決め、大会に出場。4位に終わったものの、評価されるようになり、MTVから仕事をオファーされた。その後も紆余曲折はあったが、コメディアンとして成功を収め、喜劇俳優としても認められるようになったのだ。

 夢だった「有名人」という地位を手に入れたが、「思っていたのと全然違った」と落胆したラッセルは、「この頃、スピリチュアルを意識するようになり、さまよいだした」という。彼は、まず神とは何なのか、ということを探索するようになった。中東の宗教事情にも詳しくなり、イスラム教から分派したバハーイー教も勉強。バハーイー教を弾圧する中東諸国へ書面で抗議するほど、肩入れした。

 中東の宗教を学び、スピリチュアル的に自分を高めようと意識し続けていたラッセルだが、麻薬の誘惑から救ってくれる神を見つけることはできず、依存症は悪化。結果、麻薬絡みで11回も逮捕され、仕事で大失態を繰り返すようになった。02年12月、見かねた事務所のマネジャーが、彼を薬物中毒者のリハビリ支援団体「Focus 12」に連行。「このままだと、半年以内に精神的に機能不全になるか、刑務所入りする」と診断され、リハビリを開始した。「自分の魂には、まだ麻薬に勝つ力が残っている」と信じていたラッセルは、強い意思で身体から薬物とアルコールを抜くことに成功。「薬物の誘惑に負けないよう、今後はスピリチュアルな治療をしないと」と、以前より興味を持っていた「超越瞑想」の門を叩いたのだ。

 一部で、カルト、科学複合運動的だと批判されている超越瞑想は、人類最古ともいわれるヴェーダの知識体系によって受け継がれて来た瞑想法であり、インドの物理学者マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによって現代に復活したとされている。「朝と晩に瞑想し、自分の内面に潜り込み、スピリチュアルなレベルで自分自身を知る。そのことで、ストレスを減らし、健康を増進し、明確な思考を養い、幸福をもたらす」と謳っており、カルト映画監督のデイビッド・リンチも長年、超越瞑想を行っていることで知られている。

 ラッセルは、「超越瞑想のおかげで、真の幸福は内側にある」ことを知ったとのこと。「依存を克服するには、自分のスピリチュアルを見つめなければいけない。絶対条件だ」と繰り返し発言し、朝晩の瞑想は彼の日課となった。「薬物依存症を克服したと断言はしない。1日、1日、歩んでいるんだ」と謙遜するラッセルだが、薬物断ちして今年で9年。超越瞑想の効力はてきめんであったということだが、まだどうしても断ち切れぬ依存症があった。セックスである。

 ラッセルは父親とあまり交流を持っていないが、17歳のとき、父に連れられアジアを旅行している。3度目の離婚を経験した父親が気晴らしにと、旅行を計画したのだが、その旅の最中、息子に娼婦を買い与えた。ラッセルは、この経験によりセックスに強いこだわりを持つようになり、1日に5回性交しなければ気が狂いそうになるセックス依存症になってしまったのだ。このことは、07年にリリースした自叙伝で告白しており、「愛を感じることはなく、ただただセックスをするだけ。女性たちには本当に申し訳なかった」と懺悔している。

 セックス依存から抜け出すため、ラッセルが選んだのは「クリシュナ」。クリシュナ信者は、心の中にいつも存在する「クリシュナ神」に意識が到達するまで「ハレー・クリシュナ」というマントラを唱え、魂を高めていく。彼は、07年にイングランド南部にある国際クリシュナ意識協会の門を叩き、ジョージ・ハリスンも通っていたこの寺に足しげく通うようになった。マスコミの取材が入ったときも、信者が身にまとうインドの白いローブを着て、座禅を組み真剣な眼差しでマントラを繰り返した。しかし、前ボタンを全開し自慢の胸毛をむき出しにしていたり、パンク風のサンダルを履いていたり、「今回ハマっている宗教も、所詮、表面だけ撫で回しているのだろう」と陰で笑われてしまった。

■中東宗教、超越瞑想、クリシュナ......次はキリスト教!?

 一方、しかし、彼はそんな言葉は気にせず、08年度MTVミュージックアワードで「この世で唯一、リアルなのは神だけだ」と発言したり、最後に「ハレー・クリシュナ」と叫ぶなど、クリシュナ一筋ぶりをアピール。この時期受けたBBCのインタビューでも「神を信じている」と断言。どの宗教に属しているかは名言しなかったが、「祈っているし、瞑想をしている」と答えている。

 09年もMTVミュージックアワードの司会進行役を務めることになったラッセルは、リハーサルで彼に空きボトルを投げつけた女性に一目ぼれしてしまう。その女性が、ケイティ・ペリーであり、2人はその後急速に仲を深めていった。ラッセルは彼女を連れて「スピリチュアルで、誰もがリラックスしている、大好きな国」インドを旅行し、プロポーズ。同年12月には婚約し、10年10月に、インドでヒンドゥー教の伝統的な結婚式を挙げた。

 なお、キリスト教の牧師であるケイティの父親は、「ラッセルとは神についてよく語り合う。彼は神を追い求めている。ぜひ、一緒にその道を歩もうと私は手を差し出したんだ」「娘の愛の力で、ラッセルは、大きく変わった。もう昔の彼じゃない。今、彼はスピリチュアルな道を歩んでいる」と発言。「これまで散々笑いのネタにしてきたキリスト教に、そんなあっさりと改宗するのか!?」と世間を驚かせた。

 型にはまることを嫌う、フリー・スピリットの持ち主であるラッセルが、厳格なキリスト教に染まる可能性は、おそらく低いだろう。どう考えても、「外見的に他の信者から浮いてしまっても、気まぐれにマントラを唱えているとしても、別にいいんですよ」と底抜けに寛大なクリシュナの方が、性に合っているからである。

 「この世の中はイリュージョンだから。みんな別々の人間だけれど、スピリチュアル的には一つなんだと思う」と、野生的な外見とはミスマッチな美しい言葉がさらりと出るラッセル。都合よく宗教を理解していると陰では言われているが、これからも彼なりのスピリチュアルな旅を続けていくことだろう。




Recommended by logly
【おすすめ情報】


 コメントを投稿する

ライターや他人への誹謗中傷を含む内容、本記事と関係のない内容、その他公序良俗に反する内容は、削除いたします。

オフィシャルアカウント&モバイル
  • twitter
  • facebook
  • RSS
  • モバイル用
  

ハピズムをBookmarkする