――神社に行っただけでご利益があると考えてはいないだろうか? 神社を参る時は、何よりも失礼がないようにするのがご利益への第一歩。神主や神職者が教える神社の作法を学んで、たっぷりとご利益をいただこう。

 ここ数年のパワースポットブームで、ご利益にあやかろうと新年でなくとも神社へ参拝する人が増えてきています。以前、このコーナーで参拝の作法(こちらから)について説明しましたが、参拝時の服装はどうされていますか? 今回は、参拝のときの正しい服装についてお話ししたいと思います。

【第5回 参拝時の服装】

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画像はイメージです。Photo by Kate Olmstead  
from Flickr

■ジーンズはダメ!

 神社は神様が宿る場所ですので、観光気分で参拝するのは避けたいところ。とはいえ、旅行会社がパワースポット巡りツアーを組んだり、雑誌で「パワースポットの旅」なる特集が組まれたりと、今ではひとつの観光スポットとして楽しまれているのも事実です。そうなると、参拝する格好もラフになってしまいますよね。しかし、忘れてはならないのは、「相手に対して失礼のない格好」であること。就職の面接や仕事の商談の際、サンダルにワンピースという服装では臨みませんよね。神社参拝にも、それに合った服装というものがあるのです。
 
 もちろんフォーマルな服装であれば一番よいのですが、参拝の度に毎回かっちりした格好をするのは大変です。まずは、参拝時に避けたい服装を挙げてみたいと思います。

・ジーンズ
※ジーンズは本来「作業服」ですので、いくらオシャレでも、そんな格好で神様の前に進むのは失礼にあたるのです。
・肩の出た服(キャミソール、カットソーなど)、華美な服装、セクシーな服装
・サンダルなど

 基本的には、常識の範囲内でOKと思われます。学生でしたら学校の制服は問題ありません。

■洋服礼装の落とし穴

 ただ、わざわざ参拝に行かれるのでしたら、普段着ではない方が良いでしょう。「伊勢神宮崇敬会」の規則には、「男性は必ず上衣(ジャケット)・ネクタイを着け、女性は不敬にあたらない服装」で参拝するようにとの注意書きがあります。男性であれば、スーツで、女性はそれ相当の服装であることを心掛けてください。

 現在の日本は、洋服で暮らしている人がほとんどですから、正装のドレスコードも西洋に準じている場合が多いです。しかし、日本独特のルールもあるので注意が必要です。例えば、ボタン。日本ではボタンは、「留め具」としてとらえられ、全て留めるのが良いように思われていますが、西洋では、ボタンは飾りから発展してきているので、全て留めません(通常、3つボタンの場合は真ん中、2つボタンの場合は上のみ留めます)。また、日本では黒のスーツは礼服(冠婚葬祭で使える)として扱われますが、欧米ではタダのビジネススーツ扱いで、紺やチャコールグレー(ダークスーツ)のスーツが略礼装とされています。

 このように、日本と西洋では「礼服」に対する考え方の違いがあります。神社などのお祭り(式典)に参加される場合は、周りの人に合わせるのが良いでしょう。私も祭典出席の際は、ボタンを全て留めるように心がけています。西洋にならって、たまにボタンを留めていないと年配者に注意されたりします。

■着物=正装でない場合も

 では、和装はどうでしょうか? 着物は神社に行くのにふさわしい気がしますが、「正装」といわれるものは、男女ともに「紋の付いているもの」になるので、厳密には異なります。明治以降は、紋付羽織袴が最高の正装とされていますが、本来は紋付羽織袴でさえ略式のもので、洋装の燕尾服(ブラックタイ)以下のモーニングコート(第二礼服)と同等とされています。

 また、神社の祭りで見かける浴衣姿はとても粋に見えますが、浴衣は和装の中で最も略式のもの。礼儀正しいスタイルではありません。とはいっても、現在では伝統的な衣装を着ることもなかなかありませんし、清楚で清潔で品のあるものでしたら、縁日の出店を散策したり、その際の参拝なら良いと思います。

 氏神様(近所の神社)への日々の参拝などであれば、そこまで厳密に服装にこだわらなくても問題ありません。ただし、正式参拝、ご祈祷、式典への出席など、ここぞというときには服装にも気を遣いましょう。きちんとした服装で参拝することで、神様もお心を良くし、その恩恵をいただけるかもしれません。

■神主が教えるスピリチュアルトリビア・バックナンバー
【第1回 鳥居のくぐり方】
【第2回 手水、神前の作法】
【第3回 心霊写真の対処方法】
【第4回 お札と神棚の祀り方】

中津川昌弘(なかつがわ・まさひろ)
米国留学中に日本文化の重要性に気づき、現在まで伝統文化や神社仏閣の研究を重ねている。日本文化を海外に発信しようと、僧侶、神職とも交流を深め、忘れられてしまった日本の風習などに光を当てるために活動中。現代神社と実務研究会理事を務める。著書に『日本のおまもり』(徳間書店/共著)がある。
ハッピーお守りライフ






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