――占い好き、スピリチュアル好きを悩ませるのがお金の問題。高けりゃいいってもんじゃない、でも安いと妙に不安になる......。そうやって、占い&スピリチュアルジプシーになってしまった人も多いはず。筋金入りの占いジプシーの話を反面教師に、占い&スピリチュアルとの付き合い方を学びましょう。

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占いジプシー経験は、占い好きのあるあるネタとして鉄板です。

 団塊全共闘世代、「実存主義、サルトル、ボーボワール万歳! 神は死んだのだ!」をモットーにする両親を持つ私。「宗教を見たら銭ゲバと思え!」と教え込まれ育ったので、女友達が「私の前世ってなんだったのか超気になる~占い行きた~い」と談笑していようもんなら、「前世なんてもの口にするのもくだらんっ!!」と、その場で一喝するような超現実主義者でした。そう、10年前までは......。

 22歳のある日、友達のライブを見に地元のライブハウスに行ったのですが、そこで、運命的な出会いをしてしまったのです。突如私の前に現れた年下学生バンドマン。彼を見た瞬間、ハートをわしづかみにされてしまったのです!!

 好きになったのはいいけれど、彼は行動も考えていることもまったく読めないミステリアスボーイ。恋の行方に悩み過ぎ、心も体も擦り切れ、頭なんてはげ上がる始末。現実主義で生きてきたけど、運命の恋に落ちてしまった私は、「恋の現実」を受け入れられない夢見る乙女になっていたんです。気付けば原宿・竹下通りの老舗占い館の前に立っていました。ボロボロの私を見かねた友だちに「占いでも行ったら?」と言われたのか、そんな夢を見たのか、今となっては定かではありませんが、覚えているのは館の入り口へと続く薄暗い階段を吸い込まれるように降りていったこと。それはもう、何かに導かれるように、スススススーーーーーっと......。

 そこで出会ったロングヘアーの美人占い師に、すがる思いでバンドマンの彼との恋の行方を見てもらいました。ちょっと前までの私は「前世、超気になる~」と言っていた友達を一喝していたのに......。ごめんね、Aちゃん。

 初めての占いにビクビクしながらも、タロットカードが1枚1枚並べられていくうちに、「彼との相性はいいに違いない」という何の根拠もない自信でワクワクしてきました。そして、カードを並べ終えた占い師が一言。

「彼とはこの先ぜっっっっっっっっっったい恋人になりません」

 ......しょせん、現実なんてこんなものよ、と目を覚ませばよかったのですが、恋する乙女モード全開だった私は鑑定結果を受け入れることができず、かつ「根拠がないものにそう言われたって信じられない」という現実主義な部分も相まって、占い師の言葉に聞く耳持たず。占い師は占い師で「絶対恋人になれません」と一歩も引かず。

 結果を認めたくなかった私は、「この占い師は当たらない占い師だ」「もっと有名なところに行けば違う結果が出るはず」と、占い館やら占い師の個人事務所、ヒーラー、チャネラーを徘徊しまくり、気付けば占いジプシー状態に......。

 かなりの軒数を回ったので、中には「彼とは切っても切れない縁があります」「近いうちに連絡が来ます」と明るい未来を言う占い師にも出会ったのですが、なぜか、いい結果が出れば出るほど不安になり、「いい結果のウラ」を取るために別の占い師のところへ行ってしまう。そこでいい結果を言われると、また別の占い師にウラを取ってもらう、というスパイラルにハマり込み、いつの間にか占いなしでは生活できない体になっていたのです。

 1回の占いが3,000~1万円。テレビでは細木数子先生や江原啓之さんがもてはやされ始めたころ。「鑑定料に10万円出すなんて、なんて精神的に弱い人たちなんだっ!」と彼に出会う前の私は、そう思ってたはず。なのに、今では自分こそが日ごと異なる占いブースに座り、予約する頻度も軒並み増えていく状態。一日で複数の占い師に見てもらうこともしばしば。さらに、「鑑定料金が高い=すごいor偉い=当たる」みたいな思い込みが始まり、少しずつ鑑定料の高い人のところに通うようになったのです。ひと月に10~15万円を占いにつぎ込むこともざらでした。もちろん、お金が有り余っていたわけではなく、当時は掛け持ちでバイトをする普通の学生でしたのよ。

 思えばあれから10年、私は果たして占いにいくらつぎ込んだのか――。ああ計算したくない!! リアルな金額を知りたくない!! そんな自分に直面できるメンタリティーがあったら占い師に頼ってないわっ!!! 

 彼との関係はどうなったかって? まっっっっっっったく進展しませんでしたけどね!!

 そう思うと、最初に行った占い師って当たってたんですよね......。私の精神が未熟だったばかりに、こんなことになってしまって......。信じる者は救われる、信じない者は救われないってことですか。でも、進展はしなかったけど後退もしなかったから、その後回った占い師の鑑定も当たらずとも遠からず、ですよね?

 そんなわけで、私はちっとも進展しないミステリアスボーイとの関係に振り回されながら、日替わりで占い師のもとに足を運び、祈る気持ちでスピに没頭し、お金を稼ぐために肉体労働を重ねる日々を送ること10年間。32歳になった今、目が覚めかけているのでした。

カワグチニラコ
イラストレーター。32歳独身。初めての占いで占い師を信じなかったばっかりに占いジプシーに。"当たる"と聞けばどこへでも行き、タロットなどの定番から変わり種までひと通りの占いは経験済み。現在、ジプシー時代に得た知識と本来の好奇心が相まって、占い師に転向しようか悩み中。






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